2021.1.21
, EurekAlert より:
揚げ物(フライ食品)は、主要な心臓病と脳卒中の高リスクに関連しているようだ、というメタ解析の結果報告。週あたり114g摂取量が増えるだけで実質的にリスクが数%高まるという。
研究チームは、562,445名の参加者と36,727件の主要心血管系「事象」(心筋梗塞、脳卒中など)を含む17件の先行研究のデータをプールして、揚げ物の摂取と心血管系疾患の発症リスクの関連を解析した。
さらに、754,873名の参加者と平均9.5年の追跡調査期間中の85,906件の死亡例を含む6件の先行研究のデータをプールして、揚げ物の摂取と心血管疾患及び全死因による死亡のリスクの関連を解析した。
解析の結果、週あたり、最も揚げ物摂取の少なかった者に比べて、最も揚げ物摂取の多かった者は、主要心血管疾患事象のリスクが28%高く、冠動脈疾患のリスクが22%、心不全のリスクが37%、各々高かったことが明らかになった。
この相関は、種々の因子を調整後もみられた。また揚げ物の摂取量と主要心血管疾患事象、冠動脈疾患、心不全のリスクの間には線形の関係がみられたという。週あたり114gの追加の揚げ物摂取によって、主要心血管疾患事象、冠動脈疾患、心不全のリスクは、各々3%、2%、12%上昇した。
幾つかの研究では、フライドフィッシュ、ポテト、スナックなど、1種類のタイプの揚げ物だけを検討していたため、この結果は揚げ物の影響を過小評価している可能性がある、と研究者らは示唆している。
なお、死亡リスクについては、心血管疾患による死亡、全死因による死亡ともに、関連がみられなかった。比較的例数が少なかったためではないか、と研究者らは考察している。
対象となった研究のデザインには重大なばらつきが存在しており、加えて、すべてが記憶に依存していた。これは結果の解釈において熟考さるべき因子である、と研究者らは警告している。
また、現時点では、揚げ物が心血管疾患の発症にどのように影響するかは完全に理解されているわけではないことも指摘されている。あり得べき説明としては、脂肪含量が多いのでカロリー摂取量を高める、有害なトランス脂肪酸が植物油の水素化によって生成している可能性がある、といったことが挙げられるとしている。
揚げることによって、炎症反応を含む身体に有害な副産物が生成する可能性がある。またフライドチキンやフレンチフライには大量の塩が添加されているほか、ファストフードレストランで加糖飲料と共に摂取されることが多いといった可能性を研究者らは指摘している。
出典は『心臓』。 (論文要旨)
|
|