2021.1.20
, EurekAlert より:
身体活動量の低下ではなく、従来の食事以外に市場で入手した食品の摂取量の増加が、アマゾン先住民の子供の体脂肪増加に関連しているようだ、という米国ベイラー大学からの研究報告。
「小児肥満の発症に、貧しい食生活と、低カロリー消費(不活動)のどちらがより重要なのかは依然として不明である」と筆頭著者のサミュエル・アラチャー博士は述べている。
研究チームは、エクアドル・アマゾン川流域で原住民族であるシュアル人の子供を対象(農村部43人、都市周辺部34人)として検討をおこなった。シュアル人は人口5万人ほどの大きな原住民集団である。
農村部の子供たちは、地理的に孤立した地域に住んでおり、主に狩猟、漁業、採餌、小規模園芸に基づく自給自足のライフスタイルに依存している。対照的に、都市周辺の子供たちは、店舗、レストラン、道路、病院など様々な市場設備にアクセスできる環境に住んでいた。
データ解析の結果、都市周辺の子供は、農村部の子供に比べて、体脂肪が平均65%多く、農村部の子供はひとりも太り過ぎに分類されなかったが、都市周辺の子供は3分の1以上が太り過ぎだったことが明らかになった。
都市周辺の子供は、農村部の子供に比べて、市場で入手する食品を4倍以上多く摂取していた。
都市周辺の子供と農村部の子供の身体活動量はほぼ同じだった。
都市周辺の子供は、安息時エネルギー消費が、農村部の子供に比べて108kcal少なかった。これは、免疫活性が16-47%低いことに関連しているという。
市場アクセス、免疫活性、身体活動量などの統合すると、子供たちのカロリー消費量には住んでいるところによる違いはなく、都市周辺でも農村部でもほぼ同じカロリーを消費していることがわかった。
従って、子供の体脂肪の違いは、市場から得る食品の摂取に起因すると考えられた。
「我々の調査結果は、貧しい食生活が小児肥満の発症の根底にある最も重要な要因であることを指摘する研究の増加と一致している」とアラチャー博士は述べている。「運動は依然としてこの方程式の重要な部分であり、健康的な生活を送るために不可欠だが、食事は子供の肥満と長期的なエネルギーバランスに最も直接関係しているように見える。」
出典は『栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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