2021.1.19
, EurekAlert より:
昼間に烏龍茶を飲むと、夜間睡眠中に脂肪の分解が促進されることが発見された。「眠っている間に体重を減らす」なんて嘘のような本当の話かもしれない、とのことだ。筑波大学の研究。
緑茶や烏龍茶、紅茶などすべてのお茶はチャノキ(学名:Camellia sinensis)から作られる。茶の種類の違いは、製造工程における酸化の程度によるもので、たとえば、緑茶は酸化の工程が無いゆえに穏やかな味わいとなり、完全に酸化させて作る紅茶では独特の色が生まれる。酸化の度合いが中間的な烏龍茶は、緑茶と紅茶の両方の特徴をもつ。健康上の利点で賞賛されている緑茶に対し、烏龍茶はまだよくわからないことが多い。
「すべてのお茶と同様に、烏龍茶にはカフェインが含まれています。カフェインは心拍数を上げることでエネルギー代謝に影響を与えます。しかし、研究によると、カフェインの効果とは関係なく、お茶の摂取によって脂肪の分解が亢進する可能性があります」と、研究の上級著者である徳山薫平教授は説明している。「したがって、健康な被験者が烏龍茶またはカフェインを単独で摂取した場合の、エネルギー・脂肪代謝に対する影響を調べたかったのです」。
今回の研究では、烏龍茶と純粋なカフェインはいずれも、プラセボと比較して健康な被験者の脂肪分解を約20%増加させており、さらに烏龍茶は睡眠中にも効果が持続することを発見した。興味深いことに、いずれの群もエネルギー消費の増加は起きなかったことから、2週間の研究期間中にカフェインの刺激効果に対する耐性が発達したことが示された。
睡眠不足はエネルギー代謝に影響を与える可能性があり、カフェインは睡眠を阻害することが知られている。そのため、研究チームは被験者の睡眠パターンについても調べた。重要なことに、治療群とプラセボ群の間で睡眠パターンや眠りにつくまでの時間に目立った違いはなかったため、烏龍茶を飲むことで安眠できなくなる可能性は低いことが示された。
それでは私たちは皆、ホリデーシーズンに思う存分食べたのを無かったことにするために、烏龍茶をたくさん飲むべきなのだろうか?
徳山教授によると、答えは「たぶん」だという。
「睡眠中の脂肪分解に対する烏龍茶の刺激効果は、体重を制御するために現実的な臨床的妥当性がある可能性があります。しかし、2週間の研究で観察された効果が長期間に渡り実際に体脂肪減少につながるかどうかを判断しなければなりません。さらには、カフェインの効果をお茶の他の成分とよりはっきり区別するために、カフェイン抜きの烏龍茶を試してみたいと思っています。これは、烏龍茶が脂肪の分解にどのように役立つかを正確に理解するのに役立ちます」。
出典は『栄養素』。 (論文要旨)
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