2021.1.15
, EurekAlert より:
食物繊維の豊富な食事は、閉経前女性の低い抑うつスコアと関連がみられたが、閉経後の女性にはみられなかった、という韓国・中央大学校病院からの研究報告。
研究チームは、韓国国民健康・栄養調査2014、2016、2018年から女性5,807名のデータを解析した。食物繊維摂取量は、24時間思い出し法による食事調査の結果から算出された。抑うつ症状に関してはPHQ-9(患者健康質問票-9)を使用した。
解析の結果、閉経前女性においては、非抑うつ群の女性は抑うつ群の女性に比べて、食物繊維の摂取が有意に高かったことが明かになった。閉経後女性にはこのような有意差はみられなかった。
研究チームは、エストロゲンが閉経前と閉経後の女性に見られる腸内細菌のバランスに影響を与えるため、閉経後の女性が食物繊維の増加からそれほど恩恵を受けない理由を説明する上で、エストロゲンの枯渇が役割を果たす可能性があるという。
腸内細菌叢の組成変化は神経伝達に影響を及ぼす可能性が示唆されており、食物繊維とうつ病の関連は、腸と脳の相互作用によって部分的に説明できる可能性がある。食物繊維は腸内細菌叢の豊かさと多様性を改善する、と研究チームは考察している。
北米更年期学会医療部長のステファニー・ファウビオン博士は、「この観察研究では、精神的に健康な女性はより健康的な食事をするので、より多くの食物繊維を摂取するということなのか、それとも、食物繊維の豊富な食事が脳の健康の改善に寄与しているのか、関連の方向性は不明である」とコメントしている。
出典は『更年期』。 (論文要旨)
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