2021.1.8
, EurekAlert より:
中〜高強度の運動や適正な食生活など、5つの生活習慣を順守することで、多くの人が悩む逆流性食道炎をかなり抑制できそうだという。米・マサチューセッツ総合病院の研究。
女性の健康に関する研究のうち、最も長期に渡るものの1つとして知られるNurses'Health Studyの結果から、運動など5つの生活習慣によって逆流性食道炎の症状に著しい効果のある可能性が示された。
逆流性食道炎を持つ人は多く、米国では人口の約3分の1にも上るとされる。主な症状は胸焼けであり、多くの場合は投薬治療が行われる。しかし、この新しい研究は、5つの生活習慣の順守により症状が大幅に改善され、一部の患者では投薬が不要になる可能性が示唆されている。
<5つの生活習慣> ・標準体重の維持 ・禁煙 ・中〜高強度の身体活動を1日30分以上 ・コーヒー、紅茶、炭酸飲料は1日2杯まで ・「賢明」な食事
「この研究は、身体を弱らせるありふれた胃腸症状が、多くの場合、食事と行動様式を変えるだけでうまくコントロールできるという証拠をもたらします」と、研究の筆頭著者でマサチューセッツ総合病院の胃腸科医であり、ハーバード大医学部のチャン教授は述べている。「逆流性食道炎の長期的な健康への影響と治療のために服用する薬の副作用についての懸念が長引くことを考えると、生活習慣は症状を抑制するための最良の選択でしょう」。
Nurses'Health Study IIは、11万6千人以上を対象として1989年に開始された米国の全国的な調査であり、参加者は年に2回の詳細な健康アンケートに回答することとなっている。本研究では、2005〜2017年に42歳から62歳の約43,000人の女性を対象に逆流性食道炎または胸焼けの症状について質問した際のデータを解析している。
研究者らは、5つの生活習慣についてそれぞれ、逆流性食道炎の症状が出るリスクを低下させる可能性を推定したが、5つすべてを順守することで、症状を全体的に37%減らせることを発見した。順守する数が多いほど、症状が出るリスクは低くなったという。一般的な胸焼け治療(プロトンポンプ阻害薬とH2受容体拮抗薬)を受けている人では、5つの生活習慣の順守により症状が軽減された。
「私たちは特に身体活動の効果に興味を持ちました」とチャン教授は話している。「これは、逆流性食道炎の抑制における有効性を実証した最初の研究の1つです」。この効果は、消化管の運動性に対する身体活動の影響に一部起因している可能性がある、と彼は示唆している。「身体的に活動的であることは、胸焼けの症状を引き起こす胃酸の除去に役立つのかもしれません」。
出典は『JAMA内科学』。 (論文要旨)
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