2021.1.7
, EurekAlert より:
約1割の成人が、検出可能な褐色脂肪細胞を保持しており、肥満の有害影響から保護され、2型糖尿病、心臓病などのリスクが低い傾向があるようだ、という米国ロックフェラー大学病院からの研究報告。
過剰なエネルギーを貯蔵する白色脂肪とは対照的に、褐色脂肪およびベージュ脂肪は、エネルギーを燃焼して熱産生する脂肪細胞である。
研究チームは、52,487名の患者の134,529件の18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)PET-CTスキャン画像を解析した結果、約10%の患者に検出可能な褐色脂肪が存在することを発見した。
患者は、寒冷曝露、運動、カフェインなど褐色脂肪活性を高めるものを止めるように指導されている可能性があるため、この数字は過小評価の可能性が高いという。
褐色脂肪細胞が検出された患者は、されなかった患者に比べて、2型糖尿病が少なく(4.6%対9.5%)、異常コレステロールが少なかった(18.9%対22.2%)。
さらに、褐色脂肪が検出された患者は、高血圧、うっ血性心不全、冠動脈疾患のリスクが低めであることが明らかになったという。この観察結果は、先行研究では知られていなかったものである。
褐色脂肪は、肥満のネガティブな健康影響を打ち消すように働くことも明らかになったという。一般的に、肥満者は、心臓および代謝系の疾患リスクが上昇するが、研究チームは褐色脂肪が検出された肥満者は、非肥満者と同程度の有病率であることを見出したという。
「彼らは、白色脂肪の有害影響から保護されているように見える」と主任研究者で医師のポール・コーエン助教授はコメントしている。
出典は『ネイチャー医学』。 (論文要旨)
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