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[子供]  ママの牛乳摂取で赤ちゃんのアレルギーリスク減?
2020.12.25 , EurekAlert より:   記事の難易度 2
  

母乳哺育をしている母親のうち、牛乳をたっぷり摂取している人の子どもは、食物アレルギーの発症リスクが明らかに低い傾向がみられたという。スウェーデン・チャルマース工科大学の研究。

この研究は、スウェーデンの女性500人以上の食生活と、彼女達の子どもの1歳時点におけるアレルギーの有病率との関係について調べたものだ。

「健康な1歳児の母親は、アレルギーを持つ1歳児の母親よりも母乳哺育中に牛乳を多く摂取していることがわかりました。関連性は明らかですが、牛乳を飲むことが食物アレルギーの一般的な治療法になると主張するものではありません」と筆頭著者でチャルマース工科大学博士課程のストラヴィク氏は述べている。

食物アレルギーのリスクの背景には多くの要因があり、特に遺伝的素因が大きい。とはいえ「食事は親自身が直接影響を持ち得る要因です。最近の若い女性は、流行や栄養に関する不確かな情報などによる懸念から牛乳を避けることが非常によくあるのです」とストラヴィク氏。

氏は、牛乳のたんぱく質に対するアレルギーは成人ではまれであるため、ほとんどの女性は問題なく牛乳や乳製品を摂取できるとしている。乳糖不耐症は牛乳アレルギーとは全く異なるもので、牛乳に含まれる乳糖を分解できない体質をいう。その場合、乳糖を含まない乳製品は摂って差支えない。

指導教官のサンドバーグ教授によると、考えられる理由の1つは、母親が摂った牛乳に、免疫系の発達を刺激する物質が含まれていることだという。

「子どもの初期の発達段階では、さまざまな食物に対する耐性を発達させるために免疫系の刺激が必要な時間枠があります」

よくいわれる「衛生仮説」では、さまざまな微生物との早期の接触は、子供の免疫系の始動装置のように機能する可能性があると教授は説明する。「しかし、今日のより衛生的な社会では微生物の広まりが抑えられているため、免疫系の成熟を刺激するために母親の食事を通して摂取される物質は別のものになる可能性があります。」

実はこれまでにも、母親の牛乳摂取と子供のアレルギー・リスクの低下の関連を示す研究例はあった。しかしこれらは多くの場合、食生活とアレルギー有無の確認方法が質問票のみだった。今回の調査では、牛乳の摂取状況については対象者の血液や母乳を調べて牛乳特有の脂肪酸の定量も行っており、子どものアレルギー(食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息)有無については専門医の診断を行うことで、精度を大幅に高めている。

なお、遺伝的素因や逆の因果関係など、他のさまざまな要因を考慮してデータを調整した後にも、母親の牛乳・乳製品の摂取と、子供の食物アレルギーリスク低下との間に明確な関係があることが確認された。

「データをどのように見て解釈しても、同じ結論に達しました」と、共著者のバルマン氏は述べている。「しかし、牛乳がアレルギーに対してこのような予防効果をもたらす理由の背後にあるメカニズムはまだ不明です。

仮説の1つとしては、牛乳には子供の免疫系を活性化し、耐性を発達させるのに役立つ何かが含まれているというものです。このまだ未知の要因は、牛乳に含まれる脂肪またはたんぱく質と思われます。

しかし、牛乳自体が免疫系に対して『中性』である可能性もあります。つまり、単に牛乳脂肪の摂取量が多いほど、多価不飽和脂肪の摂取量が比較的少なくなるということなのかもしれません。私たちは、多価不飽和脂肪の摂取量の多さがごく小さい子どもの免疫系の成熟を妨げる可能性があるのではと考えておりますので」。

出典は『栄養素』。 (論文要旨)      
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