2020.12.25
, EurekAlert より:
糖尿病の犬の飼い主は、そうでない犬の飼い主に比べて2型糖尿病になりやすいことが明らかに。一方で、猫とその飼い主にはこのような関連はみられなかったという。スウェーデン・ウプサラ大学などの大規模調査から。
先行研究により、肥満の犬は飼い主もまた肥満であるという関連性が報告されている。では糖尿病のような生活習慣病にも同じことがいえるのだろうか。この問いに対してウプサラ大学、スウェーデン農業大学、カロリンスカ研究所、リバプール大学は共同で大規模なコホート研究を行い、答えを出した。
この研究ではスウェーデンの動物保険登録と住民・保健登録を結び付けることにより、スウェーデン在住のペット保有者の情報を抽出し、犬の飼い主約175,000人、猫の飼い主約90,000人について調査を行った。飼い主はいずれも、研究開始時点で中年以上の年齢だった。その後6年に渡り追跡し、犬、猫とともにの糖尿病発症の有無とを調べた。
結果、糖尿病の犬の飼い主は、そうでない犬の飼い主に比べて2型糖尿病の発症リスクが38%高かった。しかし猫とその飼い主ではこのようなリスクの共有はみられなかった。なお、糖尿病の犬の飼い主にみられるリスクの上昇は、年齢や性別、社会経済的状況、そして犬の年齢、性別、出産歴には影響を受けていなかった。
責任著者のひとりであるウプサラ大学のケネディ博士は 「この研究結果では、糖尿病を持つ犬は、飼い主の2型号尿病リスク上昇のサインであろうことを示しています。私たちは、ご家庭の生活行動様式の情報を得たわけではありませんが、この関連性は身体活動のパターンや食生活が、肥満のリスクと同様に共有されてしまったことによるのではないかと考えています。
運動習慣が真の主要因なら、なぜ猫とその飼い主が共に糖尿病にならないのかを間接的に説明することができます」としている。
もう一人の責任著者であるフォール教授は 「人間と犬は少なくとも15,000年もの間、共に暮らしており、日常生活を良くも悪くも共有し続けています。このユニークな研究では、犬と飼い主の両方にとって家庭の糖尿病のリスクに影響を与える共通の生活様式と環境要因がある可能性を示しています」と話している。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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