2020.12.24
, EurekAlert より:
良質の睡眠、運動、生の果物・野菜が豊富な食生活は、精神的健康や幸福感と相関するようだ。なかでも重要なのは睡眠の質だという。ニュージーランド・オタゴ大学が若年成人を対象に行った研究。
筆頭著者のウィッカム氏は、睡眠は量でなく質が精神的健康と幸福感の最も強力な予測因子であることを発見したと述べている。「睡眠の推奨事項では、主に質よりも量に焦点を当てているため、意外でした。睡眠が少なすぎる(8時間未満)と睡眠が多すぎる(12時間以上)の両方が、より重い抑うつ症状とより低い健康度に関連していることがわかりました。睡眠の質(の重要性)は、精神的健康と幸福感を予測する上で睡眠の量を大幅に上回っています」
「これは、若年成人の精神的健康と幸福感を改善するための手段として、睡眠の質を量とともに促進する必要があることを示唆しています」。
質の高い睡眠に加え、運動、生の果物・野菜の摂取は若年成人の精神的健康と幸福感の向上と相関する3つの修正可能な行動だ。
睡眠時間と精神状態の関係をみると、抑うつ症状が最も低かったのは、睡眠時間が1日あたり9.7時間の人、幸福感が最も高かったのは8時間の人だった。
食生活との関係では、幸福感が最も高かったのは、1日あたり4.8サービング(※)の生の果物・野菜を食べた若い成人で最も高かった。2サービング未満、また逆に8サービング以上の人は、幸福感が低い傾向にあった。
「睡眠、運動、健康的な食事は、健康の3本柱と考えることができます。これは、精神障害の有病率が高く、幸福度がいまひとつの若年成人にとって、最上の幸福の増進に貢献する可能性があります」とウィッカム氏は述べている。
共著者であるコナー准教授は、ほとんどの先行研究はこれらの健康行動を個別に調査していると述べている。「私たちは、どの若年成人が活力に満ちているのか、それとも苦しんでいるのかを予測するためには、それらすべてが重要であることを示しました」。
彼女はまた、本研究結果は相関関係のみであることも強調している。「私たちは、精神的健康と幸福感の変化をテストするために睡眠、活動、または食事の調整を行いませんでした。他の研究では、調整を行いプラスの利点が発見されたものもあります。本研究では、優先的に睡眠、運動果物・野菜摂取を合わせて行う『総合的な健康』介入が次の研究の論理的なステップになる可能性を示唆しています」。
※ニュージーランドにおけるサービングサイズの例 生の果物1サービング:リンゴ・洋梨・オレンジなら1個 アンズ・プラムなら2個 生野菜1サービング:サラダ1/2カップ(1カップ=250ml)
出典は『心理学の最前線』。 (論文要旨)
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