2020.12.24
, EurekAlert より:
慢性腰痛の緩和に運動が有効であることは証明されているものの、なぜそれが有効であるのかについては、依然として不確かであるようだ、という豪州ニューサウスウェールズ大学からの系統的レビュー報告。
研究チームは、65歳未満の慢性腰痛に運動が役立つ理由について、理学療法エビデンスデータベースの文献を検索し、得られた110件の論文を系統的にレビューした。それらは、ほぼ30年にわたって、豪州、米国、中国、ブラジル、欧州など、様々な国や地域で実施されていた。
検討の結果、研究チームは、腰痛に運動が有効であるかという理由に関する合意はないにも関わらず、いくつかの共通する理由を見つけたという。
「研究者らは、運動が有益である一般的な理由について、体幹部の安定性、有酸素フィットネスの向上などによるフィットネスの改善や気分、自信の改善などを提案していた」と主任研究者のマット・ジョーンズ博士は語っている。
けれども、こうして提案された理由がアウトカムに及ぼす影響について調べた論文はきわめて少なかった。3分の1の論文では、なぜ運動に効果があるのかについて、なんの提案もされていなかったという。
「慢性的な腰痛は、トリッキーであり、それに寄与する可能性のある多くの要因がある。単に組織損傷といった生物学的側面だけでなく、心理社会学的要素や、その人の気分、自分の能力への自信なども関係してくる」とジョーンズ博士は語っている。
「運動の効果は幅広く人間のさまざまな部分に影響を及ぼすので、それが痛みをもつ人々に利益をもたらすと彼らが考える理由を正確に特定することを難しくしているのだろう」とジョーンズ博士は語っている。
出典は『筋骨格の科学と実践』。 (論文要旨)
|