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[その他]  Xmas:「ジョージの驚異の薬」の潜在的リスクについて
2020.12.21 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

COVID-19パンデミックで家にいる時間が長くなると治療法を探し始めるにわか科学者が増えてくるが、民間療法には重大な危険が潜んでいるかもしれない、と研究者らは警告している。『英国医学雑誌(BMJ)』のクリスマス特集記事。

研究チームは、ロアルド・ダールの『ジョージの驚異の薬』に登場し、何も知らないおばあちゃんに不幸な結果をもたらした「薬」について検討した。2名の研究者と彼らの5人の子供が同書を読み、出てきたすべての成分をリストアップした。これらの毒性を毒物データベースを用いて調査した。

薬には、歯磨き粉、口紅、靴磨き、粉末洗剤、激辛チリソース、エンジンオイル、不凍液など34種類の成分が含まれていた。

調査の結果明らかになった最も一般的な毒性作用は、悪心と嘔吐だった(16成分、47%)。11成分(32%)が下痢に関連し、6成分(18%)が心筋炎、不整脈に関連した。また、腎損傷、ひきつけ、心毒性、胃粘膜びらんといった、潜在的に死に至る可能性もある効果を13成分(38%)が有していた。

その効果について同書の記述は、初めは正確だが、しだいにいくぶん芸術的な表現に変化した(おばあちゃんは、最初「ヒュッと空中に飛び上がり」それから着地すると突然「胃が火事だよ!」と叫んだ)。彼らはもっともありそうなアウトカム(死)からは免れた。

本研究について、著者らはいくつかの制限があることを記している。例えば、彼らは薬を記述された通りに混合することができなかったので、成分間で起きるであろう化学的相互作用についてはコメントできないという。またおばあちゃんが服用した薬の正確な用量が書かれていなかったため、その効果については若干の推測をはらむものとなった。

けれども、現在子供たちが家で過ごす余分な時間と、実験や探索をしたいという子供たちの自然な欲求を考慮する時、子供たちの安全を確保するために両親に十分な情報を提供することが重要であると、著者らは考えたという。

「子供たちが、ジョージの驚異の薬の調合を再現できる可能性は低いものの、ジョージが使った家庭用品のいくつかは十分危険度が高いものであり、子供たちに深刻な障害を及ぼす可能性があることから、取扱いには十分配慮すべきであろう」と著者らは附言している。

「親は、子供たちの科学的調査と実験を推奨したいかもしれないが、実行する前には潜在的な毒性について、それらの成分をチェックするのが賢明である」と著者らは結論付けている。

出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)      
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