2020.12.9
, EurekAlert より:
心理的に柔軟な人は、家族や恋愛関係が良好だという。米国ロチェスター大学からの研究報告。
「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。」というのは、レフ・トルストイの『アンナ・カレーニナ』の書き出しであるが、彼は良いところに気付いていたかもしれない、と研究者は言う。
確かに、幸せな家族はいくつかの重要な特徴を共有しているようであり、感情的に柔軟であることは、ロマンチックで家族的な関係が長続きすることと全般的な健康に関して最も重要な要素のひとつかもしれない、と研究チームは述べている。
研究チームは、アクセプタンス&コミットメント・セラピー、マインドフルネス、感情調節に関する174件の研究のメタ分析を実施した。目的は、マインドフルな柔軟性と、マインドレスで柔軟でないことが、家庭内のダイナミクスや恋愛関係にどのように関連しているかを明らかにすることだった。
主任研究者のロナルド・ロッジ准教授は、「簡単に言えば、本メタ分析は、困難な状況下で、注意深く感情的に柔軟であることが、個人の生活を改善するだけでなく、親密な関係を強化し豊かなものにする可能性を明らかにしている」と述べている。
心理的柔軟性は、困難につきあたった人々が使用する一連のスキルとして定義される。このようなスキルには次のものが含まれるという。
●良いことにも悪いことにもオープンでありそれらがどんなに挑戦的で困難であっても受け入れる ●日々の生活を通じて今この瞬間に心の底から気配りする ●執拗にしがみつくことなく考え感じる ●困難な考えや感情の中にあっても幅広い視野を維持する ●毎日のストレスや混沌に関係なく、私たちのより深い価値観との接触を積極的に維持することを学ぶ ●困難な経験や挫折に直面しても、目標に向けて一歩を踏み出し続ける
研究チームは、心理的柔軟性の高い家族では以下のようなことが観察されることを発見したという。
○適応型子育て戦略がより多く使われる ○いいかげんで、荒々しく、否定的な子育て戦略が少ない ○子育てのストレスや負担が少ない ○より大きな家族の結束 ○子供の苦痛が少ない
カップルが一緒に観ることでプラスの効果をもたらすことができる映画(2013年の彼らの研究で使われた)には以下のものが含まれるという。
『恋愛小説家』 『ファニーガール』 『風と共に去りぬ』 『ラブストーリー』 『幸福の条件』 『プラダを着た悪魔』 『花嫁の父』
研究に使われた映画の完全リストはこちら(英語): https://www.rochester.edu/news/divorce-rate-cut-in-half-for-couples-who-discussed-relationship-movies/movie-list-and-questions.pdf
「簡単なことだが、隔離中のライフセーバーになるかもしれない」とロッジ准教授は、最近『People』誌に語っている。
出典は『文脈行動科学雑誌』。 (論文要旨)
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