2020.12.7
, EurekAlert より:
世界各国の主要栄養素(たんぱく質、炭水化物、脂質)の供給状況は、各年代での死亡リスクに関連しているようだ、という豪州シドニー大学からの研究報告。
2016年までのデータから栄養不足の証拠が蔓延していることがわかったという。特に、たんぱく質の供給が問題であり、「最適」な供給は世代によって異なることも明らかになった。
研究チームは、世界103カ国の食糧供給データと1,879の生命表を使用して、エネルギー摂取量と主要栄養素のバランスが、年齢別死亡率に及ぼす影響を検討した。
種々の要因を補正後も、主要栄養素の供給量は、年齢別の死亡率の強力な予測因子であったという。
「我々は、若い時の死亡リスクが、比較的高脂肪(エネルギー比率40%)、高たんぱく質(16%)で最少になることを発見した」と主任研究者のアリステア・シニア博士は語っている。「けれども、歳をとってからは、脂肪のエネルギー比率を減らし炭水化物で置き換えることで死亡リスクは最少となる。」
共同研究者のスティーブン・シンプソン教授は次のように付け加えた。「この研究は魅力的である。食事中の炭水化物とたんぱく質の比率の増加に伴う中年期以降の死亡率の低下のパターンは、加齢生物学に関する研究室での研究を反映している。」
「食糧供給データは食事の直接的な指標ではないが、それは国ごとの食事環境の違いの良い指標になる。個々の食事の詳細な研究と同じようなレベルの効果がみられることは驚きである」と共同研究者のデヴィッド・ラウベンハイマー教授は語っている。
主要栄養素は我々が食べる食品の主要なエネルギー源であり、たんぱく質、脂肪、炭水化物の3つの主要なグループに分類される。
この研究では、最小の死亡率に関連する1人あたりの総カロリー供給量は年齢とともに比較的安定している(約3,500kcal/cap/day)が、食事のたんぱく質、脂肪、炭水化物に関するカロリー摂取量の構成はそうではないことがわかったという。
50歳以前は、脂肪と炭水化物の各々からのエネルギーが40-45%でたんぱく質からが16%の場合が死亡率を最小限に抑える。しかし、年齢が進むと、脂肪とたんぱく質の供給量がそれぞれ22%と11%に低下し、これらを炭水化物に置き換えると死亡率が最も低くなった。
「本当に素晴らしかったのは、50歳以上で死亡率を最小限に抑える供給の明らかな変化が見られたことだった。そこでは高炭水化物供給が重要になるように見えた」とシニア博士は言う。
「これは個人が何を食べるべきかについてのガイドではないことに注意することが重要だと思う。我々は国が一人当たりのレベルで提供している供給を調べた。これは理論的には人々が食べるものの上限を設定する。しかし、国の食糧供給を最終的に実際に消費されるものに変換するさまざまな要因がある。」
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
|
|