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[運動]  階段を上ると幸福感もアップ
2020.12.2 , EurekAlert より:   記事の難易度 3
  

気合を入れた運動でなくても、階段を上るなどのちょっとした身体活動によって、精神的な健康は向上するようだ。特に精神的不調に陥りやすい人ほど顕著に効果が表れるといい、関連する脳領域も特定された。独・カールスルーエ工科大学などの研究。

身体活動は幸福感を生み、精神的な健康を維持するために重要だ。独・カールスルーエ工科大学(KIT)と中央精神保健研究所(CIMH)は共同で、この過程で中心的な役割を果たす脳領域を研究し、階段を上るなどのふだんの何気ない動きでさえ、特に精神的に不調になりやすい人の幸福感を大幅に高めることを明らかにした。

運動は身体的・精神的健康を高める。しかし、階段を上る、歩く、車は使わず電車を利用するなどの日常活動が人のメンタルヘルスに与える影響については、これまでほとんど研究されてこなかった。たとえば、どの脳構造が関与しているかについても、いまだ明らかになっていない。

研究チームは、現在、日々の運動のうち最大のシェアを占める日常活動について研究している。「毎日階段を上ることは、注意力と気力に満ちていることを感じるのに役立つかもしれません。このことは幸福感を高めます」と筆頭著者であり中央精神保健研究所のマルクス博士らは説明している。

この結果は、新型コロナにより行動に制限のある現在の状況と来たる冬に特に関連している。「現在、私たちは公共生活と社会的接触の強い制限を経験しており、そのことで幸福感に悪影響を与える可能性があります」と共同研究者のハイケ教授。「気分を良くするには、もっと頻繁に階段を上るのが役立つかもしれません」

「私たちの研究では、日常生活と実験室でさまざまな研究方法を新たに組み合わせました」と、カールスルーエ工科大学のウルリッヒ教授は述べている。この研究では、運動センサーを使用した歩行者評価や、被験者が移動するとすぐに位置情報データをきっかけとした幸福感に関する調査をスマートフォンで行うなどした。

対象者は67人とし、7日間に渡って注意力に対する日常活動の影響を確認するための歩行評価をした。活動の直後、人々はより注意力が向上し、さらに多くの気力が急激に高まることがわかった。注意力とエネルギーは、対象者の幸福感と精神的健康の重要な要素であることが証明された。

これらの分析を、別の対象者83人に対するMRI(磁気共鳴断層撮影法)と組み合わせたところ、大脳皮質の一部である帯状回が、日常活動と幸福感との相互作用にとって重要であることがわかった。感情や精神の不調に対する体制を調節しているのは、脳のこの領域とされている。著者らは、この脳領域が、身体活動と主観的エネルギーとの関係を仲介する決定的な神経相関であると特定した。「この領域の灰白質の量が少なかったり、精神障害のリスクが高い人は、運動不足のときには気力が足りないと感じていました」とハイケ教授は説明している。

中央精神保健研究所のリンデンバーグ教授は、「この結果は、日常生活における身体活動が、特に精神障害になりやすい人の幸福感に有益であることを示唆しています」と結論付けている。「将来的には、この調査結果は、気力が減退した場合にユーザーが積極的に幸福感を高めるように動機付けるスマートフォンアプリに応用されるようになるかもしれません」

出典は『サイエンスアドバンス』。 (論文要旨)      
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