2020.12.1
, EurekAlert より:
概してカルシウムとたんぱく質の摂取量が少ないヴィーガン(一切の動物性食品を摂らない人)は、肉を食べる人と比較して総骨折リスクが高まるほか、股関節など特定部位の骨折リスクが上昇することが明らかに。また、卵や牛乳、魚は食べるが肉は食べない、という人も股関節骨折のリスクが高くなるという。英・オックスフォード大学の研究。
筆頭著者のトン博士は、次のように述べている。 「これは、さまざまな食生活を送る人の全体的および特定部位の骨折リスクに関するはじめての包括的な研究です。ビーガンは総骨折リスクが高く、肉を食べた人と比較して、10年間で1000人あたり約20人多くの症例が発生したことがわかりました。最大の違いは股関節骨折で、ヴィーガンのリスクは肉を食べる人の2.3倍でした。これは10年間で1000人あたり15人多いことに相当します」。
本研究で、オックスフォード大学とブリストル大学の研究者チームは、英国在住男女の前向きコホート研究「EPIC-オックスフォード研究」のデータを分析した。対象者は1993〜2001年に募集された約54,898人で、おもに白人、そして女性が3/4を占めていた。肉を食べる人は29,380人、肉を食べないが魚は食べる人(ペスカタリアン)が8,037人、同じく卵と牛乳は摂る人(ベジタリアン)が15,499人、一切の動物性食品を摂らない人(ヴィーガン)は1,982人であった。
2016年まで平均18年に渡る研究期間中に、骨折事例は合計3,941件発生し、骨折部位ごとの内訳は腕566件、手首889件、股関節945件、脚366件、足首520件、その他(鎖骨、肋骨、脊椎など)467件であった。
ヴィーガン、ベジタリアン、ペスカタリアンでは、肉を食べる人よりも股関節骨折のリスクが高いことに加えて、ヴィーガンは脚の骨折、その他主要部位の骨折のリスクも高かった。ただし、BMIを考慮した場合、腕、手首、足首の骨折については、食生活の違いによるリスクに有意差は見られなかった。さらに、BMI、カルシウムとたんぱく質摂取量を考慮に入れると、総骨折リスクと部位別骨折リスクの差は、ある程度減少することを発見した。
トン博士は「以前の研究では、BMIが低いと股関節骨折のリスクが高くなり、カルシウムとたんぱく質の摂取量が少ないと骨の健康状態が悪くなることが示されています。この研究では、概してBMIが低いヴィーガンのカルシウムとたんぱく質の摂取量が肉を食べる人よりも少ないだけでなく、複数の部位において骨折のリスクが高いことを示しました。バランスの取れた、主に植物ベースの食事は、栄養水準を改善し、心臓病や糖尿病などの病気のリスクの低下に関連しています。これらの食事の利点とリスクを考慮し、十分なレベルのカルシウムとたんぱく質を摂取し、健康的なBMI、つまり体重を少なくもなく、多くもないように維持する必要があります」としている。
出典は『BMC医学』。 (論文要旨)
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