2020.11.30
, EurekAlert より:
豪州の食品供給から有害なトランス脂肪酸を排除すれば数万人の心疾患による死を予防できるかもしれない、というジョージ世界健康研究所からの研究報告。
トランス脂肪酸は、液体の植物油を固体に工業的プロセスによって変換するときに生成するもので、心疾患のリスク因子のひとつとして知られる。法律で禁止されている国もあるが、日本も豪州も法的な規制はない。
豪州における現在のトランス脂肪酸の摂取量はどちらかといえば低いものだが、依然として健康ガイドラインの摂取基準値を超えている集団がある。特に低学歴、低収入層に多い。
研究チームは、豪州の食品供給における合成トランス脂肪酸の全国レベルでの禁止の潜在的なコストと健康上のメリットを計算した。
このモデル化研究によると、トランス脂肪酸の禁止は、最初の10年間で約2,000人の死亡と10,000人の心臓発作を防ぎ、禁止が開始された時点での全成人が死亡するか100歳に達するまでの期間にわたって最大42,000人の死亡を防ぐことができることが示唆された。
この立法措置を実施するためのコストは、最初の10年間で2,200万豪ドル、生涯期間で5,600万豪ドルと見積もられ、そのほとんどは禁止の実施を監視するための政府の費用によるものだった。
心臓病に関連する医療費の削減は、禁止されない場合と比較して、10年間で8,000万豪ドル、生涯期間で、5億3,800万豪ドルに達した。
全体として、豪州でのトランス脂肪酸の禁止は、費用対効果が高いことが示唆された。
「我々のモデリング研究は、摂取量が少ない豪州にような国でも、トランス脂肪酸の排除が公衆衛生を改善できることを示唆している」と筆頭著者のマッティ・マー区ルンド博士はコメントしている。
出典は『プロス医学』。 (論文要旨)
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