2020.11.20
, EurekAlert より:
ビタミンDとオメガ-3系脂肪酸の補給は、アクティブな高齢者の骨の健康、記憶、筋肉機能に影響を及ぼさないが、一部の者の感染症のリスクを減らし血圧を下げる効果はあるかもしれない、というスイス・チューリッヒ大学などからの研究報告。
研究チームは、自宅で暮らし重要な既存の疾患がない70歳以上の健康な男女2,157名を対象に検討を行った。参加者の約半数はスイス在住で、次いでオーストリア、ドイツ、フランス、ポルトガルが多かった。
参加者は、ランダムに8つのグループに分けられ、各グループは、以下の条件をまったく受けないか、1−3つ割り当てられた。1.オメガ-3系脂肪酸(1日1g)、2.ビタミンD(1日2,000IU)、3.簡単なホームエクササイズプログラム。対照グループは、プラセボ(偽薬)が与えられ、関節の柔軟性に焦点を当てたエクササイズを指導された。
研究の3年間、1年ごとに参加者は7つある欧州トライアルセンターを訪問し、健康状態などが調べられた。また3か月ごとに電話調査を受けた。
解析の結果、研究チームは、ビタミンDとオメガ-3経脂肪酸は、骨の健康、記憶、筋肉機能に影響を及ぼさないことが明らかになったという。
オメガ-3系脂肪酸は、感染リスクを11%低下させた。特に上気道感染症(10%)、尿路感染症(62%)に有効だったという。他方、ビタミンDは、男性の収縮期血圧を2.5 mmHg低下させ、より若い参加者(70-74歳)の感染リスクを16%低下させた。しかしこれらはどれも有意な結果ではなかった。
研究チームでは、骨の健康、筋肉機能、記憶への影響がみられなかったのは、参加者の健康状態が比較的良好であり、ほとんどの人が定期的に運動しているためだろう、とみている。
「私たちの調査結果は、アクティブな生活習慣を持ち、既存の疾患がない70歳以上の成人にビタミンDとオメガ-3系脂肪酸を補給しても、骨の健康、記憶、筋肉機能に関しては何のメリットもないことを示唆している。けれども、感染症には影響があると信じている」と主任研究者のハイケ・ビショフ=フェラーリ教授はコメントしている。
出典は『米国医学会誌(JAMA)』。 (論文要旨)
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