2020.11.17
, EurekAlert より:
炎症、膿瘍、腸疾患、がんに関連する腸内細菌に健康に良い効果が隠れているようだ、という米国オレゴン州立大学からのレビュー報告。心血管疾患の予防に役立つという。
動物性食品を多く含む食事は、肝臓によって動脈内の脂肪性プラークの蓄積を促進する化合物であるTMAO(トリメチルアミン-N-オキシド)に変換されるトリメチルアミンの主要な供給源であるため、心血管疾患のリスク因子と長い間考えられてきた。
「TMAOと心血管疾患の関係は、動物ベースの食事が健康に悪影響を与える方法に焦点を当てる傾向があった」と筆頭著者のベロニカ・キベンソン博士は述べている。「けれども、腸内細菌叢の基礎研究からのデータを分析したところ、肉の消費に関連するある種の細菌は、TMAOを生成せずにトリメチルアミンを代謝できるという証拠が見つかった。つまり、これらの細菌は有益で、心血管疾患連鎖の重要なリンクを切断する」
この細菌はBiophila属であり、得られた証拠は、「拡張された遺伝暗号」が、TMAOの生成を回避して、脱メチル化経路を介して、それらの代謝を可能にすることを示唆している。さらに、キベンソン博士によると、研究では、動物ベースの食事が腸内のBiophilaを急速に増加させることが示されている。
「我々がレビューしたデータは、健康な人々では、心血管系疾患の人々に比べて、腸内細菌叢の中におけるBiophilaの存在が顕著であることを示している。Biophilaは、植物ベースの食事よりも、動物ベースの食事に反応して増加する」とキベンソン博士は述べている。「我々の知見が示唆しているのは、Biophilaの健康における役割は、特殊な文脈に依存しており、動物性食品の悪影響を低下させるプロバイオティクスとしての可能性については、更なる研究が必要ということである。」
出典は『mシステム』。 (論文要旨)
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