2020.11.13
, EurekAlert より:
ヴィーガン(完全菜食主義者)で不足が懸念される栄養素として広く知られるビタミンB12は、サプリメントの摂取などにより補われているようだ。一方で、深刻なヨウ素欠乏状態の傾向がみられるという。独・連邦リスク評価研究所の研究。
ヴィーガン食に対する関心が高まりつつあるドイツだが、主要栄養素と微量栄養素の過不足の状態に関してのデータは無い状態だ。
そこでこの研究では、ヴィーガンと非ヴィーガンの成人、各36人(男女比1:1)を対象に、血液・尿検査や生活習慣・食事アンケートによる調査を行った。その結果、両群の血中ビタミンB12濃度はほぼ同じで、有意差はなかった。ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれていないため、ヴィーガン群のビタミンB12供給源はサプリメントと思われる。なお、ヴィーガンのほぼ全員、そして非ヴィーガンの1/3が何らかのサプリメントを摂取していた。
「この研究により、さまざまなビタミンと微量元素に関して、ヴィーガン食と通常食を比較することが可能になりました」と、連邦リスク評価研究所長であるヘンゼル博士は述べている。「調査した食事は両方ともヨウ素の不足が明らかになりました。しかし、ヴィーガンの方が不足がよりはっきりとしていたのです」。
ヨウ素摂取量の適否の把握は、尿中のヨウ素濃度の測定により行ったが、参加者の大多数は欠乏状態であることがわかった。とくにヴィーガンでは欠乏状態が深刻で、尿中ヨウ素濃度は20μg/ L以下と、WHOの定義では重度のヨウ素欠乏症にあたる人が1/3にも及んだ。
その一方、ヴィーガン食は、食物繊維の摂取量が多く、コレステロール値が低いなどの健康上の利点も示された。なお、ヴィーガン/非ヴィーガンいずれも、参加者の約10%に鉄欠乏症がみられたという。
参考:ヨウ素は、魚介類や海藻類、特に昆布に高濃度で含まれるため、日本人は世界でも稀な高ヨウ素摂取の集団といわれている。日本におけるヨウ素の推奨量は130μg/日であるが、海藻類を食べない日本人のヨウ素摂取量は平均で73μg/日にすぎないとも報告されており、意図的に海藻類の摂取を避け続ける場合にはヨウ素不足が懸念される。(日本人の食事摂取基準2020年版より)
出典は『ドイツ医師会雑誌国際版』。 (論文要旨)
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