2020.11.12
, EurekAlert より:
動物と植物の両方に由来するオメガ3脂肪酸が豊富な食品を定期的に摂取することで、心臓の膜が強化され心筋梗塞の予後を改善するのに役立つかもしれない。カタルーニャにあるジャーマントリアス・イ・プジョール病院および研究所(IGTP)とホスピタルデルマール医学研究所(IMIM)による研究。
研究チームは、心筋梗塞患者950人のデータを使用した。患者の血中のオメガ-3脂肪酸レベルは、心筋梗塞の治療で入院したときに測定された。この測定値は、サンプリングの数週間前、つまり心筋梗塞の前に、患者がこれらの脂肪をどれだけ食べたかを非常に正確に示している。患者は退院後3年間監視され、研究チームは、梗塞時にオメガ-3系脂肪酸の血中濃度が高いことと、予後の合併症リスクが低いことに関連がみられることを観察した。
■オメガ-3系脂肪酸の利点
エイコサペンタエン酸(EPA)は、脂の多い魚に含まれるオメガ-3系脂肪酸の一種である。脂の多い魚を定期的に食べると、EPAは心筋細胞の膜のリン脂質に組み込まれ、さまざまなストレッサーから心臓を保護する。その結果、心筋梗塞で引き起こされる損傷を制限するのだという。
だが、この研究の目新しいところは、アルファリノレン酸(ALA)として知られている植物由来の別のオメガ-3系脂肪酸にも焦点を当てていることである。クルミ、大豆などに含まれるこの脂肪は、海産性のオメガ-3ほどよく研究されていない。研究者らは、EPAとALAは競合せずに、互いに補完し合うことを観察したという。高レベルのEPAは、心血管系の原因による再入院のリスクが低いことに関連しており、高レベルのALAは、死亡リスクの低下に関連していた。
「魚介類と植物性のオメガ-3系脂肪酸のコンビネーションが心血管系疾患のリスクにある患者の予後を改善し、生活の質を高める重要な戦略になるだろう」と主任研究者のアントーニ・ベイエス臨床部長はコメントしている。
共同研究者のアレイス・サラ博士は、「この論文は、2種類のオメガ-3の非競合的で補完的な効果を協調しており重要だ」と述べている。
出典は『米国心臓学会誌』。 (論文要旨)
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