2020.11.11
, EurekAlert より:
朝食の欠食と遅い夕食はいずれもたんぱく尿発症リスクの増加と関連していることが明らかに。たんぱく尿は慢性腎臓病の初期の兆候として知られる。金沢大学の研究。
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の構造的・機能的異常、または糸球体濾過の低下と定義されている。CKDは、末期腎疾患および心血管疾患の危険因子であり、いくつもの国で主要な健康問題となっている。CKDの原因として最も一般的なものは、糖尿病・高血圧・肥満である。これらの疾患は薬剤による治療法もあるが、近年では食事療法や運動などの行動変化を伴う治療が注目されている。
本研究の責任著者である和田骼u教授は「CKDは心血管関連死のリスクの高さに関連しています。したがって、どのような行動がこの致命的な病気の発症を促進してしまう可能性があるかを理解することが重要です。私たちの研究の目的は、食生活とCKDとの関係を調べることでした」と述べている。
たんぱく尿は腎臓病の初期の兆候であるため、その発生を防ぐことは健康上重要となる。研究者らは、金沢医師会の協力を得て、毎年の健康診断で使用される質問票を使用して研究を計画した。
具体的には、1998〜2014年に金沢で毎年健康診断を受けた40歳以上の26,000人以上の患者を対象とし、後ろ向き研究を実施した。不健康な食習慣は次の4種を定義した。@遅い夕食(就寝前の2時間以内に夕食を食べることが週3回以上)、A朝食欠食(週3回以上)、B早食い(同年代の人より食べるのが速い)、C夜食(週3回以上)。
結果、対象者に最も多く見られた不健康な食習慣は「早食い(29%)」であり、次いで「遅い夕食(19%)」、「夜食(16%)」、「朝食欠食(9%)」だった。3年以上に渡る平均追跡期間中に、患者の10%がたんぱく尿を発症しており、不健康な食習慣との関連を調べたところ、朝食欠食と遅い夕食が、たんぱく尿発症リスクの上昇と関連していた。なお、意外なことに不健康な食生活は体重の変化とは関連していなかった。
「この結果は、体重の変化に関係なく、不健康な食生活がCKDリスクに関連している可能性を示しています。私たちの調査結果は、行動変化がCKDの発症を防ぐことを表しています。新しいアプローチの開発に役立つことでしょう」と和田教授は述べている。
出典は『栄養素』。 (論文要旨)
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