2020.11.9
, EurekAlert より:
大豆を摂取したとき、腸内細菌の助けを借りて生成する代謝物(エクオール)は認知症の主要なリスク因子を低下させる可能性があるようだ、という米国ピッツバーグ大学からの研究報告。
研究チームは、91名の認知機能が正常な日本人高齢者を対象に血中のエクオール(大豆の代謝物のひとつ)レベルを測定した。6-9年後に、脳画像診断によって白質病変とアミロイドβの沈着のレベルを測定した。
解析の結果、エクオールの血中濃度は、アミロイドβの沈着には影響しなったが、エクオールと白質病変の低下には関連がみられたという。
参加者を血中エクオールレベルによって、非産生群、低群、高群の3群に分けると、各々白質病変の割合が、1.19%、0.89%、0.58%と負の相関を示した。
研究チームは、イソフラボン(腸内細菌がエクオールに代謝する大豆成分)には白質病変にもアミロイドβにも影響がないことも発見した。
「白質病変は、認知機能低下、認知症、およびすべての原因による死亡の重大な危険因子である」と主任研究者の関川暁准教授は述べている。「エクオールを生成できる人と比較して、エクオールを生成できない人の白質病変が50%多いことがわかった。これは、驚くほど大きな効果でである。」
研究チームでは、「この種の研究は常に人々の注目を集めているが、ランダム化臨床試験によって十分な証拠があることがわかるまで、エクオールが認知症を予防することが証明されたとは言えない」と警告している。
出典は『アルツハイマーと認知症:トランスレーショナル研究と臨床介入』。 (論文要旨)
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