2020.11.4
, EurekAlert より:
栄養不良で入院した摂食障害患者の標準治療は、低カロリーの再栄養計画を開始し、ゆっくりとカロリーを上げることだが、正反対のアプローチで患者がより速く健康になることが示された、という米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校からの研究報告。
再栄養アプローチに関するこれまでで最大のランダム化臨床試験において、研究チームは、患者を2群に分けた。研究を完了した111名の患者中、51名の思春期および若年成人は第1日に1,400kcalを摂取しその後一日おきに200kcalずつ増量していった。別のグループの60名は、第1日に2,000kcalを摂取しその後毎日200kcalずつ増量していった。両群とも、食べなかった分と同等のカロリーを高カロリー液に置き換えた。
その結果、研究チームは、低血圧や徐脈または不整脈などの入院を促した合併症が、高カロリー群でより迅速に回復し、より短くより安価な入院をもたらすことを発見したという。
低カロリーの再栄養の理論的根拠は、第二次世界大戦にさかのぼるという。第二次世界大戦では、再栄養が速すぎた飢えた捕虜の死が記録されていた。これらの死亡は、せん妄や心臓発作につながる水分や電解質の危険な変化を引き起こす、いわゆるリフィーディング症候群に起因していた。しかし、予備研究で、研究チームは、低カロリーの再栄養が体重増加の遅延と長期入院に寄与していることを示した。
平均年齢が16歳で、91%が女性である患者は、体重とバイタルサイン、および低レベルでリフィーディング症候群を示すリン、カリウム、マグネシウムなどの電解質の血液測定値を監視された。両群とも、約15か月にわたって、体重の平均21パーセントを失っていたという。
研究チームは、両群間で電解質の異常に違いがないことを発見した。これは、高カロリーの再栄養が安全性の懸念の増大と関連していないことを示している。さらに、チームは、高カロリーの食事をしている患者は、低カロリーの食事をしている患者よりも3日早く医学的安定に達することを発見した。この格差は徐脈で特に顕著であり、高カロリー群では4、5日前に逆転した。また、より早く体重が増えたという。
高カロリー群は早期に安定することができたので、低カロリー群の12日に対して、平均して8日で退院することができた。これにより、病院が保険会社に請求する入院費が大幅に節約された。料金は、低カロリーの患者1人あたり平均57,168ドルだったが、高カロリーの患者1人あたり平均38,112ドルだった。
出典は『JAMA小児科学』。 (論文要旨)
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