2020.10.29
, EurekAlert より: 
周りの気温が低いとヒトとマウスでビタミンAレベルが上昇し、それが白色脂肪細胞をエネルギーを燃やす褐色脂肪細胞に変換するのに役立っているようだ、という墺ウィーン大学からの研究報告。
研究チームは、適度な寒冷条件下に置かれると、ヒトとマウスでビタミンAとそれを輸送するレチノール結合たんぱく質の血中レベルが上昇することを明らかにした。ビタミンAは、ほとんど肝臓に貯蔵されており、寒冷曝露によって、脂肪組織へのビタミンAの再分布を刺激するようだ。寒冷によるビタミンAの上昇は、白色脂肪細胞の褐色脂肪細胞への変換を促進し、脂肪燃焼の割合が上昇したという。
研究チームが、遺伝子操作によって、マウスにおけるレチノール結合たんぱく質をブロックすると、寒冷曝露によるビタミンAの上昇と白色脂肪の褐色化の両方が鈍化したという。
「その結果、脂肪の酸化と熱産生が低下したために、マウスはもはや寒さから身を守ることができなくなった」と主任研究者のフロリアン・キーファー准教授は述べている。
対照的に、ヒト白色脂肪細胞へのビタミンA添加は、代謝活性とエネルギー消費の増加を伴う褐色脂肪細胞への変化を促した。
「我々の結果は、ビタミンAが脂肪組織の機能に重要な役割を果たし、エネルギー代謝に影響を及ぼすことを示唆している。けれども、それはビタミンAのサプリメントを摂取しろということではない。重要なのは、ビタミンAを正しい時に正しい場所に運ぶための輸送たんぱく質であるからだ」とキーファー准教授はコメントしている。
出典は『分子代謝』。 (論文要旨)
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