2020.10.26
, EurekAlert より:
臍帯血のビタミンDレベルが高いと、母親が子癇前症であっても小児高血圧の発症リスクが抑えられるようだ、という米国ジョンズホプキンス大学からの研究報告。
米国の小児高血圧は、1988年から2008年にかけて約40%上昇した。先行研究によれば、母親の子癇前症がその要因のひとつである可能性がある。
先行研究はまた、母親のビタミンD欠乏を子癇前症のより高いリスクに関連付けている。研究チームは、子宮内のビタミンDレベルが、母親の子癇前症と小児期の高血圧にどのような関連しているか知りたかったという。
研究チームは、マサチューセッツ州の754組の母子を対象にしたデータを解析した。対象グループの62%は黒人で、52%は過体重または肥満だった。データには、妊娠中の子癇前症、出生時の臍帯血の検査結果、および3-18歳までの子供の血圧に関する情報が含まれていた。
母親の約10%が子癇前症であり、解析の結果、子癇前症でない母親に比べて、子癇前症の母親から生まれた子供は、平均収縮期血圧が高いことが明らかになった。全血圧測定値を0-100パーセンタイルに変換した場合約5パーセンタイル高かった。
臍帯血ビタミンDレベルは明らかにこの関連を用量作用的に変更したという。ビタミンDレベルで4群に分けたとき最下位の25%に含まれた子供は、母が非子癇前症の子供に比べて母が子癇前症であれば、平均して11パーセンタイル血圧が高かった。
ビタミンDが最上位の25%に含まれた子供は、母親が子癇前症だったかどうかが血圧の違いに影響を及ぼさなかった。つまり、出産時のビタミンDが高いことにより、子癇前症によるリスクは打ち消されるようだという。
解析の結果、妊娠中のより高レベルのビタミンD(臍帯血で測定)が、子癇前症の母親から生まれた子供の高血圧の発症を抑えるのに役立つ可能性のあることが示唆された、と研究チームは結論付けた。
「心血管疾患のリスクの大部分が、胎児期にプログラムされるというエビデンスが増加している。このプログラムを効果的に変えるのはビタミンDであるかもしれない」と主任研究者のノエル・ミューラー助教授はコメントしている。
出典は『JAMAネットワークオープン』。 (論文要旨)
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