2020.10.22
, EurekAlert より:
注意欠陥・多動症(ADHD)、双極性障害、攻撃的行動などの一因は砂糖や果糖の過剰摂取である可能性が示唆された。米コロラド大学の研究。
砂糖(ショ糖)と高果糖液糖(果糖を90%以上含む異性化糖で、多くの加工食品に含まれている)の構成成分である果糖、そして果糖の代謝の過程で体内で産生される尿酸には、行動障害のリスクを高めるとの仮説を、コロラド大学医学部のジョンソン教授らが新しい研究により示した。
「果糖は、細胞内のエネルギーを低下させることにより、飢餓時と同様の採餌応答を引き起こすという証拠を示しています」。
最近の研究では、果糖の過剰摂取がメタボリックシンドロームの発症と強く関連している理由として、果糖の摂取が進化に基づく生存経路を活性化し、採餌行動とエネルギー貯蔵のための体脂肪の蓄積を刺激することが示されている。
果糖の適度な摂取は、食糧不足や飢餓からの保護反応として体脂肪を蓄えて動物を助けるものと思われるが、過剰に摂取すると、リスク・テイキング、衝動性、新規性の追求、迅速な意思決定、および生存反応としての食物の確保のための攻撃性を刺激する給餌応答が引き起こされるという。糖の摂り過ぎによるこのプロセスの過剰活性化は、ADHDから双極性障害、さらには攻撃性に至るまで、数々の衝動的な行動を引き起こす可能性があるとしている。
高GIで糖質の多い食品、塩辛い食品も、体内で果糖に変換される可能性があるため、これに寄与するかもしれないという。また複数の研究から、果糖の代謝の際に生成された尿酸が、これらの現象のいくつかに関与する可能性が示唆されている。
「果糖経路は生き抜くための助けになるものですが、果糖の摂取量は前世紀に急増し、現在の西洋型食生活には糖分が多く含まれるため、過剰摂取している可能性があります」。
この論文では、精製された砂糖と高果糖液糖に含まれる果糖の過剰摂取が、肥満と西洋型食生活に関連する行動障害の病因にどのように寄与しているのかを調べている。
ジョンソン教授は「私たちは攻撃的行動は砂糖のせいだと非難しているというよりは、その一因である可能性に言及しているのです」とし、今回の研究で果糖を危険因子とみなしたことは、メンタルヘルスを形作る遺伝的、家族的、身体的、感情的および環境的要因の重要性を否定するものではないと述べている。
出典は『進化と人類行動』。 (論文要旨)
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