2020.10.16
, EurekAlert より:
パーキンソン病に関連付けられた遺伝子変異を持つ人々であっても、コーヒーの摂取はより低いパーキンソン病の発症リスクと関連しているかもしれない。米国マサチューセッツ総合病院の研究。
先行研究では、コーヒーの摂取がパーキンソン病の遺伝的危険因子を持たない人々のパーキンソン病の発症を予防する可能性があることが示されていた。本研究では、パーキンソン病のリスクを高めるロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)の遺伝子変異を持つ人々が調べられた。
研究チームは、パーキンソン病に罹患した188人と罹患していない180人を比較した。どちらのグループにも、LRRK2遺伝子変異のある人とない人がいた。研究チームは、血中のカフェインの量、およびカフェインが体内で代謝されるときに生成される他の化学物質、およびそれがグループ間でどのように変化するかを調べた。合計212人の参加者が、毎日どのくらいのカフェインを摂取したかについてのアンケートにも回答した。
LRRK2遺伝子変異を持つ者の中で、パーキンソン病に罹患した人は、罹患していない人よりも血中カフェイン濃度が76%低かった。遺伝子変異のないパーキンソン病の人は、パーキンソン病でない人よりも血中のカフェイン濃度が31%低かった。
LRRK2遺伝子突然変異を持つパーキンソン病患者は、食事中のカフェインの摂取量も少なかった。遺伝子突然変異を持つ人は、遺伝子変異の有無にかかわらずパーキンソン病に罹患していない人よりも、カフェインの摂取量が1日あたり41%少なかった。
「パーキンソン病になり易い人がコーヒーを飲むのを避ける傾向があるのか、それとも一部の突然変異キャリアがコーヒーをたくさん飲み、その神経保護効果の恩恵を受けるのかはまだわからない」と筆頭著者のグレース・クロッティ医師は述べている。
この研究は断面的な調査であるため、カフェインがパーキンソン病のリスクや病気の進行にどのように影響するかを研究者が理解するのに役立たない、とクロッティ医師は述べている。また、カフェインの摂取がパーキンソン病のリスクを直接低下させることを証明するものでもないとしている。
出典は『神経学』。 (論文要旨)
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