2020.10.15
, EurekAlert より:
研究者、政策立案者、メディア関係者は、COVID-19の蔓延を予測する疫学モデルに内在する不確実性を認識し、「壊滅的な」最悪のシナリオは避けるべきである、という米国コーネル大学からの研究報告。
悲惨な結果が予想される脅威については、短期的により多くの人々を動員して公衆衛生上の予防策を講じるかもしれない。だが、モデルのデータと仮定の不確実性がハッキリしていなくて、後で欠陥のあることが判明した場合には、批判と反発を招くことになる。
政治エリートの間では、特に民主党からの批判は、パンデミック政策を導くためのモデルの使用、そしてより広く科学における国民の信頼を損なうという意図しない結果をもたらす可能性がある、と研究結果は示している。
「モデルが不確実性に基づいていることを認めるのは、科学的なモデルについて話すためのより正確な方法であるだけでなく、政治指導者やメディア関係者は、科学への信頼を損なうことなくそれを行うことができる」と共同研究者のサラ・クレプス教授は語っている。
研究チームは、今年5月と6月に6,000人以上の米国成人を対象に、ロックダウンや経済再開に関する政策を導くためのCOVID-19の科学的モデルの使用や科学一般への支持に、政治家のレトリックとメディアの枠組みが、どのように影響したかを検討した。
その結果、研究チームは、科学的不確実性の提示の仕方(それを認める、文脈化する、または武器にする)が、公共政策の好みや態度に重大な影響を及ぼした可能性があることを発見したという。
たとえば、共和党エリートは、疫学モデルの不確実性を攻撃または「武器化」する可能性が高いとチームは述べている。けれども、調査実験からは、彼らの批判が、それは大衆が明らかに期待していたものだが、モデルや科学への信頼性を変えなかったことが示された。党の主流から分裂した何人かの共和党知事からのCOVID-19科学への支持も、信頼性に影響しなかった。
対照的に民主党の批判は驚きを持って迎えられ影響力があったという。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事のウイルスモデルを軽視する発言が示された時には、調査対象者らは経済再開政策にモデルを使用することへの支持率を13%低下させ、また科学全般への支持も低下させた。
「それは、民主党ではCOVID-19の科学についてコミュニケートするのに特に注意を払う責任があることを示唆している」とクライナー教授は言う。「なぜなら人々は、民主党に対して、科学に関する当事者の連携について、またCOVID-19や気候変動などの問題についての一般的な期待があるため、意図していなくても科学に対する信頼を不注意に損なう可能性があるのである。」
不確実性を無視または軽視する別の方法は、最も憂慮すべき予測と不作為の潜在的な結果をセンセーショナルにする、または「壊滅させる」物語を提示することであるという。たとえば、ジョージア州の再開戦略に関する『アトランティック』誌の4月の記事は、州の「人身御供の実験」と言及されていた。
研究チームの実験では、COVID-19コミュニケーションのタイプによっては、政策を導くためにモデルを使うことへの支持率を21%増加させたという。その増加は主に科学的知識の少ない人々に起因するものであった。
出典は『サイエンスアドバンス』。 (論文要旨)
|