2020.10.12
, EurekAlert より:
合法的な強壮サプリメントや医療スポーツサプリメントを使用しているアスリートは、プロテインバーやスーパーフードなどを利用しているアスリートよりもドーピングを行う可能性が高いかもしれない、という研究報告。
アスリートのプログラムには一部のスポーツサプリメントが必要とされる場合があるが、強壮や医療スポーツサプリメントの使用は、運動者をドーピングに対して肯定的な考え方に導く可能性があるという。
バーミンガム大学とカンタベリークライストチャーチ大学の研究者らは、禁止物質の使用を防ぐために、このようなサプリメントを使用しているアスリートをターゲットとしたアンチ・ドーピング教育の必要性を呼びかけている。
研究者らは、クラブ、郡、国、国際レベルで競うアスリート573名に対して、以下の4種類のスポーツサプリメントの利用に関する調査を行った。
・クレアチンなどの強壮サプリメント-パフォーマンス向上のために使用される; ・鉄などの医療サプリメント-臨床的な問題や栄養素不足の治療のために使用される; ・プロテインバーなどのスポーツ食品/飲料-栄養素供給源として使用される; ・ゴジベリーなどのスーパーフード-健康やパフォーマンスの改善がうたわれている
研究者等によると、筋力を高め、トレーニング間のリカバリー時間を短縮することでパフォーマンスを向上させる強壮や医療サプリメントを使用しているアスリートでは、ドーピングが運動能力を改善する他の手段となるという信念が育まれる可能性があるという。
著者の一人であるバーミンガム大学心理学教授のクリストファー・リング氏は次のように述べている。「我々の研究結果は、運動のコーチや栄養士、スポーツドクターにとって重要な意味を与える。運動分野の専門家たちは、強壮や医療サプリメントを使用するアスリートが、ドーピングに対してより肯定的な立場にある可能性を認識しておく必要がある。これらのサプリメントを利用しているアスリートは、化学的活性がある物質を使用することが、スポーツのパフォーマンスを高めるために容認される方法であると考えている場合がある。この考え方は、後々、ドーピングを単なるパフォーマンス向上のための手段の一つであると合理化することに繋がる可能性がある。」
調査対象のアスリートの5人に2人 (42%) が強壮サプリメントを使用し、5人に1人 (18%)が医療サプリメントを使用していた。21%がスポーツ食品/飲料を使用し、スーパーフードの利用は2%と少なかった。対象者の半数以上 (53%) が少なくとも1種類以上のスポーツサプリメントを使用していた。
研究者らは、将来的な研究で、1つの種類のサプリメントの使用が他の種類の使用につながり、最終的には禁止物質の使用につながる可能性について検討することを見据えている。たとえば、スーパーフードの使用が強壮サプリメントや医療サプリメントの使用につながり、さらにドーピングにつながる可能性についてなどである。
出典は『スポーツの科学と医学雑誌』。 (論文要旨)
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