2020.10.1
, EurekAlert より:
非感染性疾患(NCD)に対する世界的公衆衛生規制に対して、食品・飲料業界は一貫して反対の立場をとっているようだ。
心臓病、がん、糖尿病などのNCDは、世界中の死亡と障害の7割以上の原因となっているが、その対策には大きな問題が生じているという。
研究チームは、2015年9月から2018年9月にかけて、WHOが行ったNCD政策に対する食品・飲料業界の反応を調査した。
その結果、業界は、公衆衛生に対する支持を表明しながらも、砂糖税や販売制限などの効果的な規制には一貫して反対し、代わりにより有効でないアプローチを提唱していたという。
業界団体は、NCDに関する確立されたエビデンスにも異議を唱えている。たとえば、「加糖飲料が体重に影響を及ぼすことはない、というエビデンスが存在する」と主張する。
また、「業界団体は、WHOは経済政策の専門家ではないのだから、税金(砂糖税のこと)のよな専門から程遠い分野にアドバイスを提供するのは賢明な行動ではないというのが我々の意見である」などと主張している。実際には、WHOには多くの経済学者がいる。世界銀行も砂糖税の推進派である。
こうした反論のロジックは、2000年代初頭にWHOがタバコの規制をより強力に推進したときに、タバコ業界によって展開されたものを踏襲しているようだ。
「WHOが何をして、何をしないかは、我々全員に重要であり、各国はそれに基づいて公衆衛生を行うので、業界はなんとか提言を弱体化させようとする。業界を最初からリスク因子と決めつけることは、WHOの国連の主要な保健機関としての位置付けも脅かされることになりかねない」と研究者は結論付けている。
出典は『グローバル化と健康』。 (論文要旨)
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