2020.9.30
, EurekAlert より:
妊娠中は少量の飲酒でも胎児の脳の発達に影響を及ぼすかもしれない、という豪州シドニー大学からの研究報告。
研究チームは、妊娠中の少量の飲酒が、生まれた子供が9-10歳になった時の心理、行動、神経、認知機能に及ぼす影響を、9,719名の子供を対象とした大規模調査において検討した。ここで少量の飲酒というのは、どきどき1-2杯または週6杯を超えない量の飲酒、大量飲酒は、ときどき3杯以上または週7杯以上の飲酒である。
子供たちの25%が、子宮内でアルコールに曝露し、そのうち60%が少量飲酒に、40%が大量飲酒の母親だった。
解析の結果、妊娠中に常に少量飲酒に曝露した子供は、暴露しなかった子供に比べて、心理的・感情的な問題(不安、うつ、離脱を含む)および行動上の問題(注意力の低下や衝動を含む)を経験した。妊娠初期の6-7週間にわずかに重いレベルの飲酒(約36杯)に曝露した子供は、注意欠陥多動障害(ADHD)と診断されるリスクが25%増加した。妊娠初期のアルコール摂取量の多さは、規律行動違反と攻撃性とも関連しており、子供が反抗挑戦性障害と診断されるリスクは、30%増加した。
アルコールに曝露した子供の脳容積と表面積には違いがみられ、心理および行動問題の原因と考えられた。
「子供たちは、母親が妊娠初期に少量の飲酒(初期の6-7週間で約16杯)しかせずにその後飲酒を中止したとしても、悪影響がみられた。難しいのは、その時期には多くの女性が自身の妊娠に気付いていないということだ」と筆頭研究者のブリアナ・リーズ博士候補生はコメントしている。
出典は『米国精神医学雑誌』。 (論文要旨)
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