2020.9.30
, EurekAlert より:
栄養失調というと低体重の人を想像しがちだが、実際、約半数は過体重または肥満の人だという。栄養失調は急性冠動脈疾患の主因であることも判明しており、BMIの高い人の栄養状態について視点を変えて見る必要がありそうだ。米国心臓学会誌の論説。
栄養失調とは、栄養素の摂取が不十分または不均衡であるために栄養上の欠点がある状態と定義されている。主に低体重の人に影響を与える病気という誤った認識が広がっているが、急性冠状動脈疾患(ACD)についての最近の研究では、栄養失調がこの病気の重要な根本的要因であることが判明した。実際、栄養失調の人の約半数は過体重または肥満だったという。
著者のひとり、ナショナルジューイッシュヘルスのフリーマン医学博士は、次のように話している。「BMIの高い患者における栄養失調は、ほとんど認識されておらず、治療も不十分な状態です。胴回りの大きいことは、低栄養というより過剰栄養と勘違いされることがあまりにも多いのです。体重は食品の質と相関関係があり、肥満の患者は栄養失調のリスクがないという考えを払拭することが重要です」。
ACD研究は、肥満者における栄養失調の有病率と、それが深刻な合併症にどう関与するかを強調する最新の証拠だ。実際、栄養失調は低体重者に比べて4倍もの過体重者・肥満者に影響を及ぼしていると世界保健機関が報告している。
「各人が栄養アセスメントを受け、体に十分な"燃料"を供給するために適切な栄養素を摂取していることを確認するためのカウンセリングとリソースを提供することが不可欠です」とフリーマン博士。「治療せずに放置すると、栄養失調は糖尿病、高血圧、心臓病などの深刻な健康状態につながります」。
心血管疾患を軽減または回復させるためには適切な食習慣、ならびに身体活動、そしてストレス解消、マインドフルネス、質の高い睡眠などのセルフケアの実践が必要であり、これらは最も費用対効果が高く強力なツールであるとし、これらの実践を医師をはじめとする専門家が高度な知識をもってサポートすべきとしている。
出典は『米国心臓学会誌』。 (論文要旨)
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