2020.9.29
, EurekAlert より:
1日の決められた時間内だけ摂食する時間制限ダイエット(別名、間欠断食)は、筋肉のコア時計を変えず、時間制限摂食によって引き起こされる代謝物と遺伝子発現のリズムの変化が健康へのプラスの影響の原因である可能性を示唆している、というデンマーク・コペンハーゲン大学からの研究報告。
研究チームは、世界で初めて、時間制限摂食による、骨格筋と血液中の代謝物の振動および骨格筋中の遺伝子発現の変化を検証した。その目標は健康を支配する信号を、減量に関連する信号から解き解すことだったという。
「骨格筋のコア時計遺伝子のリズムは、時間制限ダイエットによって変化しないことが観察された。これは、時間制限ダイエットの影響が、遺伝的リズムよりも、食事により強い影響を受けることを示唆しているレオニダズ・ルンデル博士は述べている。
「我々はまた、骨格筋の代謝物プロフィールは、時間制限ダイエット後に、主に脂質ベースからアミノ酸ベースに切り替わることを発見した。これはアミノ酸トランスポーターの律動性の変化によるもので、それはアミノ酸プロフィールの一部が血液中からの吸収である可能性を示している。」
研究チームは、過体重・肥満の11人の男性を、5日間の無制限摂食または8時間の時間制限摂食のいずれかのプロトコルに割り当てた。5日目には、4時間ごとに1日サンプルを採取した。10日間の洗い出し期間の後、対象者はもうひとつの食事プロトコルに従って実験を繰り返した。
各介入の後、チームは、筋肉での遺伝子発現、および血液と筋肉での代謝物(代謝プロセスによって形成される分子)のプロフィールを測定した。
実験の結果、時間制限摂食が血液と筋肉中の代謝物のリズミカルな濃度を変化させることが明らかになった。時間制限摂食は、筋肉によって発現される遺伝子、特にたんぱく質の構成要素であるアミノ酸の輸送を助ける遺伝子のリズミカルな発現にも影響を及ぼしたという。
重要なことは、時間制限摂食が筋肉のコア時計(毎日の活動サイクルを調節する細胞の作り付けのメトロノーム)を変えなかったことであるという。これは、時間制限摂食によって引き起こされる代謝物と遺伝子発現のリズムの変化が健康へのプラスの影響の原因である可能性があることを示唆している。
「我々の発見は、時間制限摂食と代謝の健康の改善との因果関係を理解することに関心のある科学者に新しい道を開くものだ。これらの洞察は、肥満とともに生きる人々の生活を改善するための新しい治療法の開発に役立つ可能性がある」と主任研究者のジュリーン・ジエラス教授は述べている。
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
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