2020.9.24
, EurekAlert より:
アルコール業界は、飲酒の健康影響に関する学術研究への研究資金提供を増加させており、幾つかの研究においては、アルコールの健康上の利点について主張しているようだ、という英国ヨーク大学からの研究報告。
2009年以降、アルコール企業または関連組織からの資金提供を受けた研究が56%増加していることがわかったという。科学研究に対するアルコール業界のスポンサーシップの規模は、バイアス、利益相反、結果の選択的な報告の可能性に対する懸念を引き起こしているという。
研究チームは、13,500件をわずかに下回る数の研究に直接間接にアルコール業界から研究費が提供されていることを発見した。
筆頭研究者のスー・ゴールダー博士は言う。「我々の研究は、懸念される傾向を明らかにした。同時期にアルコール企業が行った健康分野における研究は減少しているが、研究資金の提供は増加している。研究者に直接供給するものもあれば、関連団体を通じてのものもある。」
「関連団体を通じたものを人々は慈善事業だと勘違いして、アルコール企業との関連に気付かないことが多いだろう。透明な抜け穴というものである。」
「アルコール業界によって資金提供された研究の中には、正当なものもあるが、アルコールの心血管保護作用について主張したものや、薬物乱用の問題は業界の動向とは関係ない個人の選択の問題だと結論するものもある。」
研究チームでは、彼らが今回明らかにしたアルコール業界の関与は、氷山の一角に過ぎないと考えている。
「製薬企業やタバコ企業が研究資金を提供して数十年にわたって科学的根拠を覆し、政策に影響を及ぼすために共謀してきたことはよく知られているが、アルコール業界による科学研究への影響については、その規模や様態について更なる研究が必要である」と共同研究者のジム・マッケンブリッジ教授はコメントしている。
出典は『欧州公衆衛生学雑誌』。 (論文要旨)
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