2020.9.16
, EurekAlert より:
感染の深刻さが高いと考えられるほど、社会的距離を保つモチベーションが高くなるようだ。社会的距離とコロナ関連アプリの利用という対策に対する人々の動機づけを探索した、ケルン大学からの研究報告。
政府はコロナのパンデミックを阻止するための対策として、社会的距離をとること、コロナ対策アプリを使用することを勧めている。しかし、これらの対策はすべての人に同じように受け入れられているわけではない。ケルン大学の心理学教授カイ・カスパー氏は、人々が自身の潜在的な感染の深刻さを高く評価するほど、社会的距離を保つことの動機づけになることを明らかにした。
社会的距離のルールを無視することは、密接な出会いに対する喜びというような、報酬としての役割も果たしている。このような報酬が認識されると、適切な距離をとる行動の遵守は危険にさらされる。他者と適切な距離を保つことができ、その対策が実際に感染を防ぐことを手助けしていると確信が持てたとき、人々の社会的距離のルールに従うモチベーションはより高くなる。
社会的行動も同じく重要である。「研究参加者は、距離を保つことに対する仲間のモチベーションが高いことに信頼が持てたとき、身体的な距離を保つことに強く動機づけられていた。つまり、現在のパンデミックに対する戦いにおいて、連帯は非常に重要だということだ。」とカスパー教授は説明する。
この研究では、2種類のコロナアプリの利用に対する人々のモチベーションについても検討している。1つは接触を追跡する機能があるコロナ警告アプリ、もう1つはコロナデータ提供アプリで、これはドイツの公衆衛生を守る政府の重要な研究機関であるロベルト・コッホ研究所によるものである。コロナ警告アプリでは、利用者は感染の可能性がある人との接触を追跡し、自分自身の感染状況を他の人に知らせることができる。コロナデータ提供アプリではスマートウォッチやフィットネスデバイスからのデータを分析し、利用者の健康と行動のデータがロベルト・コッホ研究所に提供される。
コロナアプリについて、コロナ警告アプリの使用のモチベーションは、コロナデータ提供アプリよりも高いことが明らかになった。「どちらのアプリも、人々を積極的に感染から保護するわけではないが、接触を追跡するアプリは、少なくとも感染者との接触という重要な情報を確認することができる。この一方で、コロナデータ提供アプリは大規模データを収集してコロナウイルスの広がりを分析することを目的としているため、利用者は直接的な恩恵を受けることはない。」とカスパー氏は話す。
人々のコロナアプリを使用する意欲は、社会的距離をとるモチベーションと密接に関係している。社会的距離をとることを効果的な方法であると評価し、社会的距離に関して知覚する反応コストが高いほど、コロナ警告アプリを利用するモチベーションが高くなった。「これらの因子は直接的にアプリの利用に関連しているわけではなく、むしろ社会的距離と関連している。しかし、これは、パンデミックに対するさまざまな対策を受け入れることが、同一個人の評価プロセスに部分的に関連していることを示している。」とカスパー氏は話す。
この研究では、個人情報の機密処理に対する利用者の信頼も非常に重要であることが明らかになった。「公式アプリ提供者への信頼が高まり、データが不正利用されるおそれが少ないほど、コロナ警告アプリとコロナデータ提供アプリの利用に対するモチベーションが高かった。この関係性はまた、人々が自身の感染状況をコロナ警告アプリに提供する意欲にも当てはまる。」とカスパー氏は強調している。
出典は『医療インターネット研究雑誌』。 (論文要旨)
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