2020.9.14
, EurekAlert より:
EAT-ランセット委員会の提案を実施するための5つの優先課題に関する、コロンビア・国際熱帯農業センターなどからの研究報告。『ネイチャー食品』誌に掲載。
EAT-ランセット委員会が昨年発表した報告書は、全人類が健康的な食事をするために、より持続可能な食糧生産システムを確立することを提案していた。
今回、委員会のメンバーを含む研究チームは、EAT-ランセット食事法の実現に必要な優先課題について論じている。それは経済、政策、文化規範、公平、ガバナンスの5つである。
経済 EAT-Lancetダイエットは、購入する財産を持つ富裕層には良いが、世界16億人がそのための経済的余裕を持たないという。これを解消するためのコストは現時点では不明だ。貧困層には、健康な食品の割引価格での提供や生産補助金などが考えられる。
政策 肥満、栄養不良など、貧しい食生活は貧しい健康の主要因であるが、世界中の食品システムを健康的な食品の生産に向けるには規制とインセンティブの複雑な組み合わせが必要である。
文化規範 貧困層が豊かになると、肉の消費を増やし、健康的な伝統食を貧困の象徴として遠ざけるという健康に逆行する現象が起きる。また脂肪、糖類、塩分を含む食品がより低価格で販売されると、より一層不健康になる。
公平 世界の肉消費の50%を削減することが、EAT-Lancetダイエットの中核であるが、貧困層はより多くの動物性たんぱく質を摂取する必要もある。特に貧困層の女性と幼児は肉の摂取を増やさなければならない。
ガバナンス これら様々な変化をもたらす社会を作り上げるのは容易なことではない。政治の興味をこちらに向けさせるのも自然災害やパンデミックの今日困難であろう。すべてのレベルにおいて政策決定者に資する知識とスキルを蓄積することが重要である。
出典は『ネイチャー食品』。 (論文要旨)
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