2020.9.1
, EurekAlert より:
米国疾病管理予防センターによると、COVID-19重症化リスクとなる基礎疾患には、喘息・肥満・高血圧・糖尿病などが挙げられているが、このうち喘息は当てはまらないかもしれないという。米国コロラド大学の研究。
研究グループはCOVID-19による入院患者の喘息の有病率について、15件の査読付き論文のデータと各地域住民の喘息有病率とを比較分析したほか、過去4年間の全米インフルエンザ入院患者中の喘息有病率と一般の喘息有病率の比較も行った。さらに、コロラド大学病院に入院したCOVID-19患者で挿管を必要とした患者のうち、喘息患者・非患者の割合についても確認した。
結果、COVID-19の入院患者における喘息の割合は、各研究施設の周辺住民の喘息有病率と比較的類似していることを発見した。米国のインフルエンザ入院患者では喘息有病率が20%以上を占めていたことから、これとは全く対照的な結果となった。
コロラド大学のオルギン教授は「CDC(米国疾病管理予防センター)は喘息患者をCOVID-19関連の入院リスクが高いと位置付けています。しかしながら、多くの国際的研究はCOVID-19入院患者のうち喘息患者は少ないことを示しています。この発見は、喘息がリスク要因であるという仮説に異議を唱えるものです」としている。
同大学病院のCOVID-19入院患者における喘息患者は12%であったが、非喘息患者に比べて挿管が必要となるリスクは高くならなかったという。また、多くの喘息患者が利用するコルチコステロイドの吸入薬が、コロナウイルスの軌道への侵入を防いでいるのではないかとしている。さらに、コルチコステロイドの吸入によって新型コロナウイルスと結びつくACE2受容体の発現が少なくなったり、そもそも喘息患者はACE2受容体の発現量が少ない可能性もあるのだという。
出典は『米国胸部学会年報』。 (論文要旨)
|