2020.9.1
, EurekAlert より: 
学食で料理を並べる時、ベジタリアン食と肉料理の間に1メートル以上の距離を置くことで、ベジタリアン食の選択を増やすことができるようだ、という英国ケンブリッジ大学からの研究報告。
肉に偏った食事は我々の健康リスクというだけでなく、地球環境にもやさしくない。畜産業が環境破壊や温暖化ガスの排出を増加させるためである。これを解決するために、ケンブリッジ大学の自然保護主義者らは、人々により多くの植物を食べ、肉を減らさせる「ナッジング」の方法を検討したという。
研究チームは、ケンブリッジ大学の2つのカフェテリアで実験を行った。2年にわたって105,143食分のデータを収集、解析した。この間、チームは、肉とベジタリアンの料理の置き場所を毎週変更し、さらに毎月そのパターンも変更し続けたという。
このデータ数は前例のない大規模なものであるという。肉の摂取を減少させるための「選択アーキテクチャ(構造)」に関する先行研究のレビューからは、すべてを合わせても11,290件にしかならなかった。
実験の結果、研究チームは、カレッジのひとつでは、入口付近に肉でなくベジタリアンの皿を置いても、野菜の摂取は増えないことを発見したが、別のカレッジでは、週単位の分析で、野菜料理の選択が25.2%増加し、月単位の分析では39.6%の増加も観察されたという。
カフェテリアの違いは、ベジタリアンと肉の皿の間に、1メートルの距離を追加したことだけだった。最初のカレッジでは、その間は85cmだけだったが、二番目のカレッジでは181cm開いていたのだという。
「肉や乳製品の消費量を減らすことは、気候、環境、その他の種を保護するために私たちが行うことができる最も単純で最も影響力のある選択肢の1つである」と筆頭研究者のエマ・ガーネットは語っている。
確認のため、研究チームは、2つ目のカフェテリアでベジタリアンと肉の皿の距離を67cmに縮めてみたところ、野菜の売り上げは急激に減少したという。肉が先に置かれている場合よりも売り上げは低かった。
「すべてのカフェテリアとレストランは、人々を何かに引き寄せるデザインを持っている。そこで、最も健康的で持続可能な食品選択を、考えずに最も簡単に選択できるようなデザインにすることが賢明であろう」とガーネットはコメントしている。
出典は『ネイチャー食品』。 (論文要旨)
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