2020.8.31
, EurekAlert より:
有酸素運動は大うつ病の若年成人に明白な有効性がみられるようだ、という米国ラトガーズ大学からの研究報告。運動療法が有効である患者を発見する手掛かりも見つかったという。
研究チームは、66名の大うつ病の若年成人(平均年齢20.23歳)を対象に、有酸素運動が抑うつ症状に及ぼす影響を検討した。ランダムに2群に分け、週3回、8週間にわたって、中強度有酸素運動または軽度ストレッチを行わせた。
その結果、有酸素運動群は、抑うつ症状が55%低下し、軽度ストレッチ群の55%を多いく上回ったという。
本研究に特徴的なのは、うつ病を持つ人々で障害されている脳機能の2つの側面である認知制御と報酬関連の脳活動を評価したことだという。
認知制御とは、行動の調整を可能にし、目標を達成し、注意散漫に抵抗するプロセスを意味する、報酬処理(または報酬関連の脳活動)は、報酬刺激または結果への応答と、損失などの肯定的および否定的結果への応答を処理して調整する能力を反映している。報酬処理の欠乏は、大うつ病を含む複数の精神状態に関連しており、快感消失を反映している可能性があるという。
有酸素運動は、報酬処理または認知制御に影響しなかったが、研究開始時に報酬処理が優れていた患者は、有酸素運動にうまく応答する可能性が高かった。
「再現性を確認する必要があるが、運動が抗うつ効果を持つ人と持たない人を見分ける精密医学的アプローチは魅力的であろう」と主任研究者のブランドン・アルダーマン准教授は語っている。
出典は『精神医学』。 (論文要旨)
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