2020.8.31
, EurekAlert より:
硝酸塩は、咳や呼吸に関連する筋肉である横隔膜の機能を改善するようだ。高齢マウスを用いた実験であるが、ヒトでも再現されれば高齢者の肺機能を改善し感染症を予防する助けになるという。米国フロリダ大学からの研究報告。
先行研究において、硝酸塩が、筋肉でのカルシウム利用性を改善することにより筋肉機能を助けることが示唆されていた。横隔膜は呼吸と咳に使われる主要な筋肉であり、咳は肺をきれいにすることに関連しているため、ここに力が与えられるということは、現在の文脈において極めて重要だろうという。
研究チームは、14日間水に硝酸塩を添加することにより、高齢マウスの横隔膜の収縮力が顕著に増加することを観察したという。この効果は、カルシウム利用性の改善というよりは、収縮たんぱく質の機能の改善によるものであるようだ。
マウスとヒトでは、横隔膜の速筋と遅筋の割合が異なり、マウスの横隔膜は90%が速筋であるが、ヒトの横隔膜は年齢によって異なるが25-50%の速筋で構成されているという。
食事性の硝酸塩は、速筋の収縮機能に大きな影響を及ぼしているようであり、従ってヒトへの効果はマウスで観察されたほど顕著ではない可能性があるという。また用いられたマウスは全て雄だったので、雌への効果も不明である。
出典は『生理学雑誌』。 (論文要旨)
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