2020.8.31
, EurekAlert より:
知覚的要求が大きいことを行いながらものを食べていると、満腹感に気づくことが難しくなるようだ、というサセックス大学からの報告。
マーティン・ヨーマンズ教授、ソフィー・フォースター博士らは、興味をそそられるタスクに従事していると、余分な飲食の量を制御するのが難しくなる傾向があることを明らかにした。研究チームは120名の参加者を対象に、エネルギー量が高い飲料と低い飲料、注意を要するタスクとあまり要さないタスクを与えた。チームの発表した論文は、『食欲』誌に掲載された。
研究者らは、参加者が知覚的要求の高い作業に従事していると、開始時に飲んだ飲料のエネルギー量の多寡にかかわらず、ほぼ同量のスナックを食べることを発見した。しかし知覚的要求の低いタスクを行なっている場合、参加者らは追加して食べるスナックの量を制御できた。この場合、参加者らはエネルギーの高い飲料摂取後は低い飲料の後と比較して45%、スナックの摂取量が少なかったという。
先行研究では、知覚的要求が高い(感覚が総動員される)とき、脳はいくつかの感覚情報を排除することが示されている。今回、研究者らは初めて感覚と満腹感に関連する栄養情報が同様に排除されることを明らかにした。
マーティン・ヨーマンズ教授は語る。
「我々の研究は、強く興味をそそられるタスクを行っていて注意が散漫になっている状況で食べたり飲んだりすると、自分がどの程度満腹感を感じているかを知ることが難しくなることを示した。これは、健康的な体重維持を求める人々にとって重要である。もし、あなたにTVを観ながら間食する習慣があるなら−スリラーやミステリー、その他聴覚的・視覚的情報の多い映画などを観ている場合−あなたは満腹になってもその感覚に気づくことができないだろう。テレビゲームやクロスワードを行う習慣がある人も同様に注意が必要だ。」
「我々はすでに、満腹の感覚は食物の外観やテクスチャ、過去の経験で得たその食物がどの程度満腹感を感じさせるかという予測に影響を受けることを知っている。今や我々は、満腹感は脳が同時に処理する知覚情報の量にも影響されることを学んだ。」
研究では、120名の参加者が満足感の低い(75 kcal)、または高い(272 kcalで濃厚な味わい)飲料を飲むと同時に、知覚的要求の低い、または高いタスクを行った。知覚的要求の低いタスクを行った場合、参加者は満足感の高い飲料を飲んだ時には満足感の低い飲料を飲んだ時よりも45%少ない量のスナックを食べた。しかし、知覚的要求の高いタスクを行った場合、参加者は満腹感を感じにくくなり、より多くのスナックを要した。研究者らは、人が満腹感を認識する能力は、脳に残されている注意力の程度に依存すると結論づけている。
この研究結果は、注意力のロード・セオリー(人の脳が認識できる知覚情報の量には限界がある)が食習慣にも当てはまることを示した最初のエビデンスであるという。
出典は『食欲』。 (論文要旨)
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