2020.8.24
, EurekAlert より:
2002年と2018年の米国の世帯ごとの購入食品を比較した研究によると、砂糖などのエネルギーのある甘味料 (CS) を含む食品の購入量が減少した一方で、砂糖代替品のような非エネルギー産生甘味料 (ノンカロリー甘味料、NNS) とCSの両者を含む食品、飲料の購入量は増加したという。NNSのみ、またはNNSとCSの両者を含む製品のほとんどを飲料が占めていた。米国ノースカロライナ大学からの研究報告。
「砂糖の過剰摂取は慢性の代謝疾患と強く関連していることから、砂糖消費量の低減は公衆衛生上の重要な課題とされてきた。これにより、食品業界は大きく進歩し、NNSの供給が増加した。」今回の研究を率いたバリー・ポプキン栄誉教授は話す。
NNSにはアスパルテーム、サッカリン、レバウジオシドA、スクラロースといった甘味料が含まれる。
この研究では、米国で供給されているパッケージ食品に含まれるNNSの種類と消費の頻度および量の変化を2002年と2018年とで比較した。著者の一人、シュウ・ウェン・グ准教授によると、NNSの中でもアスパルテームとサッカリンを含む製品の摂取頻度は減少していたが、この一方でスクラロースは38.7%から71.0%へ、レバウジオシドAは0.1%から25.9%へと上昇していたという。子どもがいない世帯と比較して、子どもを持つ世帯ではよりNNSを含む製品の購入が多かった。この結果は公衆衛生上の課題である砂糖の消費削減には沿うものだが、NNSの利用による他の健康への懸念も浮上している。
さらに研究によると、対象期間を通して非ヒスパニック系白人はヒスパニックおよび非ヒスパニック系黒人のおよそ2倍のNNS含有製品を購入していた。しかしながら、非ヒスパニック系黒人では、2018年に2002年と比較してCSとNNSの両方を含む製品を購入している世帯が42%増加しており、この集団での購買行動の変化が示された。
この研究では、バーコードレベルでの全国の世帯購入品のデータセット (ニールセン・ホームスキャン) を、定期的に更新される栄養素・成分情報データベースと紐付けて解析が行われた。製品の成分表示のキーワード検索によって含有するNNSの種類を調査した。続いて研究者らは、各世帯の1人あたりが1日に購入したNNSおよびCSの量と、甘味料の種類ごとに含有する食品、飲料を購入している世帯の割合を算出した。
筆頭著者のエリザベス・ダンフォード博士は話す。「甘味料の健康影響を理解するために、特定の甘味料の摂取量を把握できるようにする必要がある。我々の研究は、各企業が生産する食品に何を入れているのかをモニターするデータシステムを構築し維持していく必要性を強調した。この研究は、それぞれのNNSの異なる健康影響についての臨床的エビデンスを補完するのに役立てられる。」
「製品にNNSが含まれている場合、製品表示に含有量を記載するよう栄養成分表示を改善することは、これらの添加物の曝露量を把握し、潜在的な健康リスクや健康影響をより適切に評価するのに役立つ。」とグ氏は話す。
過去の観察研究では、NNSの摂取と体重増加、2型糖尿病、他の代謝障害の発症増加と関連することを示しているが、反対の影響を示す結果も報告されている。無作為化比較試験やメタ分析の結果では、NNSと甘い食品の摂取量増加との関連性は見いだされていない。この研究間の結果の不一致が、これらの研究ではすべてのNNSを一緒にして解析しており、特定の種類のNNSの影響を調べているのではないことによるかどうかは不明である。
出典は『栄養食事療法アカデミー雑誌』。 (論文要旨)
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