2020.8.19
, EurekAlert より:
スマートフォンの内蔵カメラを使って指先の色のわずかな変化を測定することで、糖尿病患者を80%以上の感度で検出できたという。さらに年齢や性別、BMIなどの情報と組み合わせることで精度は向上したとのこと。米国カリフォルニア大学の研究。
糖尿病は、冠動脈疾患、腎不全、失明、脳卒中など、ほぼすべての臓器に影響を与える疾患のリスクを高めることが知られており、さらにはCOVID-19の重症化リスクを高めることも明らかになっている。
にもかかわらず、糖尿病患者の半数は診断を受けていなかったり健康へのリスクを意識していない。これは、無症状である期間が長いことが主因と考えられる。
非常に多くの合併症を生じる糖尿病を、スマートフォンによって痛みを伴わずに簡単に検出できるようになれば、多くのメリットがあるだろう。今回の研究の目的は、糖尿病リスクが高い人々を特定し、最終的には未診断の糖尿病患者数の減少に役立てることだという。
すでにスマートフォンに組み込まれている技術を使用して簡単に展開できる、このスクリーニングツールは、糖尿病を検出する能力を急速に高める可能性があると研究者らは述べている。
今回、スマートフォンのカメラとライトを使用して、フォトプレチスモグラフィ(PPG)と呼ばれる測定技術により、心拍に対応する指先の色の変化を測定した。約54,000人の糖尿病患者から得たPPGのデータをもとに糖尿病検出システムを開発し、2つの集団を対象に検証を行ったところ、一方では81%、もう一方では82%の感度で糖尿病患者を識別できたという。
また、非糖尿病患者のうち、実際に正しく識別できたのは全体で92〜97%だった。さらにデータを、年齢、性別、BMI、人種/民族などといった簡単に取得できる患者情報と組み合わせると、精度が向上したとのことだ。
出典は『ネイチャー医学』。 (論文要旨)
|