2020.8.18
, EurekAlert より:
一般的に大都市のほうが暴行の件数は多いと考えられているけれども、現在または過去のパートナーから受ける暴力のリスクが最も高いのは小さな町に住む女性のようだ、というワシントン州立大学からの報告。
この研究では1994年から2015年までの全国犯罪被害調査における57万人以上の女性のデータを解析。これにより著者のキャスリン・デュボワ准教授は、小さな町の女性は大都市中心部の女性より27%、郊外の女性より42%、親しいパートナーからの暴力を受けることが多かったことを明らかにした。
「犯罪学では居住地のバイアスを考慮する。我々は大都市が最も犯罪が多く他の地域はより穏やかであると考える」とデュボワ氏は話す。「我々は都市部、郊外、農村部の順で考えがちだが、パートナーからの暴力に関しては、実際には郊外エリアが最も安全で、小さな町が最もリスクが高かった。」
全国犯罪被害調査は様々な個人犯罪に関して毎年実施されている大規模なインタビュー調査である。この調査は、警察に報告があがらない犯罪の「暗数」を明らかにすることをひとつの関心事としている、とデュボワ氏は話す。
調査では多くの地点をシンプルに都市部と地方に分けているが、デュボワ氏は人口密度を基に都市部、郊外、小さな町、農村部に分けてデータ解析をおこなった。小さな町は、人口5万人以下の大都市以外の地域のうち都市化された区域と定義され、単純に大都市の隣接地域とされる郊外と区別した。
「多くの研究では非大都市圏を一様に扱っているが、これらの中には多くの異質性が存在する。」とデュボワ氏は話す。
デュボワ氏は当初、農村部では大都市よりもパートナーによる暴力発生率が低いか同程度であると報告されていた全国調査の結果と、農村部での孤立がジェンダーに基づく暴力を悪化させる可能性を示した民俗学的な定性的研究の結果の不一致を調整するため研究に着手した。
研究データは暴力の背景にある理由を明らかにはしなかったが、小さな町でパートナーによる暴力の発生率が高いという結果は、様々な因子が関連している可能性を示している、とデュボワ氏は語る。
「小さな町は、大都市で発生する困難な問題が起こるのに十分な人口を有する一方で、経済的に打撃を受けやすい地域であるために家庭内暴力に特化した警察組織やサービスが充実していない。」とデュボワ氏は解説する。
出典は『個人間暴力雑誌』。 (論文要旨)
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