2020.8.7
, EurekAlert より:
未成年者は甘味への感度が低く、甘味を感じるのに成人よりも40%多くの砂糖を必要とするようだ、というイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校からの報告。
幼児や10代の子どもは、甘味の閾値が高いことに加えて、成人と比較してより高い濃度の甘味を好むという。
「感度と好みという甘味への応答の2つの領域は、子どもから大人にかけて明確な成長をたどる。」責任著者でイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のマルタ・ヤニーナ・ペピーノ教授は話す。「しかしながら、これら2つは独立しており、互いに関連は認められない。」
研究は7歳から67歳 (幼児108人、10代の子ども172人、成人205人) を対象とし、米国国立衛生研究所、米国糖尿病学会の協力を得てフィラデルフィアのモネル・センター、セントルイスのワシントン大学にて実施された。
研究者らは、参加者に濃度の違う砂糖水をわたし、好みの甘味濃度と、甘味を感じる最も低い濃度を調べた。
「子どもたちは甘味を感じるのに高濃度の砂糖水を要したが、参加者の甘味の感度は、甘味の好みに影響を与えなかった。」と著者の一人、ジュリー・A・メネラ氏は話す。
「甘味への感受性を推定するため、4グラム (角砂糖1個分) の砂糖を溶かした水を用意し、各年代の参加者が甘味を感じることのできるグラスの数を調べた。」
例として、感受性の低かった幼児や10代の子どもでは、グラス5杯分 (40オンス) の水に溶かした砂糖水までしか甘味を感知できなかったが、成人ではより低い濃度のグラス7杯分 (56オンス) の水に溶かした砂糖水まで甘味を認識することができた。
先行研究を裏付けるように、研究者らは幼児が成人よりも強い甘みを好むことを発見した。
成人は、一般的なコーラ飲料と同程度の、8オンスの水に対して角砂糖約8個分の砂糖水の甘味を好んだ。幼児や10代の子どもは、これよりも50%濃い、約12個分の砂糖水を好んだという。
今回の研究は、研究者らの以前の研究に基づき、データを統合して行われた。
「我々は以前の研究で、今回行った甘味の好みの測定法と同じ方法により脳内の報酬系経路である線条体のドーパミン受容体の働きが年齢とともに低下することを発見し、年齢に関係なく、健康な若い成人で最も好まれる砂糖水の濃度を予測した。」とペピーノ教授は話す。
研究者らは、砂糖の甘味への感受性と好みの変化は10代の頃に明確な成長過程の結果として現れ、これらは互いに別のメカニズムによって起こるという仮説を立てた。
「たとえば、味の感受性の変化は、唾液の組成や口腔解剖学的な変化に引き続いて起こる一方で、甘味への好みは、脳内の報酬系の働きの変化の結果である。」とペピーノ教授は話す。
出典は『栄養素』。 (論文要旨)
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