2020.7.28
, EJCN より: 
50年以上前にはG7諸国の中で最も短命な国だった日本が、世界で最も長寿の国へと変わった理由を日本型食生活と栄養素摂取量の変化から探る、国立がん研究センターの研究。従来型の日本式食が多少変化し、ほどよく西洋式食を取り入れたことがカギとなっているようだ。
G7諸国の最新の死亡率統計の国際比較によると、日本は平均寿命が最長となっている。これは主に虚血性心疾患とがん(特に乳がんと前立腺がん)による死亡率が著しく低いことによる。
1960年代には、脳血管疾患、特に脳内出血と胃がんによる死亡率が比較的高かったことから、日本の平均寿命はG7諸国の中で最短だった。これらの疾患の死亡率はその後大幅に低下したが、虚血性心疾患およびがんの死亡率もいっそう低下し、その結果、日本人の平均寿命が最も長くなったのだ。
虚血性心疾患とがんの死亡率の低さは、@日本における肥満の有病率の低さ A赤肉、特に飽和脂肪酸の摂取量の少なさ B魚、特にn-3多価不飽和脂肪酸、大豆などの植物性食品、緑茶など無糖飲料の豊富な摂取 を反映していると考えられる。
脳血管疾患による死亡率が低下した理由は、@動物性食品・牛乳・乳製品、つまり飽和脂肪酸とカルシウムの摂取量の増加 A血圧の低下につながったと思われる、塩分摂取量の減少 を反映したものと考えられている。また、塩分全体、および塩分濃度の高い食品の摂取量が減少したことは、かつて非常に高かった胃がん死亡率の低下の原因とみられる。
現代の典型的な日本人の食生活では、植物性食品や魚の摂取に加え、ほどほどに西洋式食、つまり肉・牛乳・乳製品を取り入れることによって、日本での長寿に関連している可能性があるとしている。
出典は『欧州臨床栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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