2020.7.27
, EurekAlert より:
脳の中で、どの程度の量の糖を摂取し、どの程度甘い味を欲するかをコントロールする細胞が特定された。アイオワ大学からの報告。
甘いお菓子は多くの人にとって時々の楽しみである。しかし「甘党」を欲求のままに放置することは糖の過剰摂取に繋がり、肥満、2型糖尿病などの慢性的な健康問題を引き起こす。糖の摂取量と甘い味の欲求をコントロールするメカニズムを理解することは、これらの健康問題を防ぐために重要だ。
アイオワ大学カーバー医科大学のマシュー・ポットホフ准教授とコペンハーゲン大学のマシュー・ギラム博士らの新たな研究はこのメカニズムを明らかにするため、エネルギーバランス、体重コントロール、インスリン感受性において重要な役割を果たすことで知られているホルモン、線維芽細胞増殖因子21 (FGF21) に着目した。
「この研究は、このホルモンが脳のどの部位で働くかを初めて明らかにし、糖の摂取が制御される方法について非常に興味深い知見を示した。」とポットホフ准教授は話す。
研究者らはすでに、FGF21が血糖の上昇に応答して肝臓でつくられ、脳で糖の摂取と甘い味への欲求を抑制することを明らかにしている。
この発見に基づき、研究チームは今回、FGF21のシグナルに応答する脳細胞と、この関連がどのように糖の摂取と欲求を制御するのかを明らかにした。
FGF21が脳で働くことは知られていたものの、このホルモンの受容体発現量は非常に小さく、発現部位を特定するのは困難とされていた。研究者らは様々な技術により、FGF21がグルタミン酸作動性ニューロンを標的とし、脳の視床下部腹内側核でこのニューロンの糖感受性を高めることで糖の摂取を抑制することを解明した。
肥満や糖尿病を治療するためにFGF21を標的とした薬の開発が進められている。今回の発見が、より正確な標的をもつ新薬の開発につながり、人々が摂取する糖の量を制御できる可能性が期待されている。
出典は『細胞代謝作用』。 (論文要旨)
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