2020.7.14
, EurekAlert より:
米国ではCOVID-19の感染者数が直線的に増加していくと思っている人が多く、感染拡大を過小評価している。バイアスを避ける介入によって理解が改善されソーシャルディスタンスの支持者が増えるようだ、という独ケルン大学とブレーメン大学からの研究報告。
COVID-19のようなパンデミックの蔓延を食い止める最も効果的な方法は、「ソーシャルディスタンス」として知られるようになったものだ。けれども、そのような措置の導入は、人口のかなりの部分がその必要性を見逃しているという事実によって妨げられているという。多くの社会科学者は、指数成長バイアスと呼ばれるものにこの認識の根源を見ている。
「一般に、人々は指数関数的成長を理解することが困難であり、代わりにそれを線形用語で誤って解釈する」と筆頭著者のジョリス・ラマース氏は説明する。その結果、感染率の増加は大幅に過小評価され、ソーシャルディスタンスによって感染率が低下する可能性について誤解される。「我々の今回の研究は、コロナウイルスの蔓延を封じ込めるためのソーシャルディスタンスに関する国民の見方を形成する際の指数関数的成長バイアスの役割を検証している。」
米国でウイルスが大量に拡散している2020年3月末までの間に3つの研究が行われた。最初の研究は参加者の線形成長の理解に焦点を当て、多くのアメリカ人が誤ってウイルスの指数関数的成長を線形的に認識していることを示した。興味深いことに、政治志向も役割を果たしていたという。保守派はリベラル派よりもこの誤解を起こしやすかった。第二、第三の研究は、指数関数的な成長バイアスを回避するように人々に指示することで、ウイルスの成長に対する正しい認識が大幅に高まり、それによって社会的距離を支持することを示した。
「まとめると、これらの結果は、コロナウイルスなどのパンデミックと戦うための支持を集める上での統計的リテラシーの重要性を示している」とラマース氏は述べている。
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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