当研究所 研究者からのコメント
(ニュースが参照している以下の論文に対するものです)
新型コロナウイルス感染症拡大時に伴う外出禁止期間中の英国成人の身体活動とその関連要因 Smith L et al , BMJ Open Sport & Exercise Medicine, 2020;6:e000850.
本研究は、英国の新型コロナウイルス感染症拡大による外出禁止期間に、英国成人の身体活動をインターネット調査で調べた調査である。一般的に外出禁止期間には身体活動が減るものと予想されている。しかし本調査では、911名の75%がWHOの定める週あたり150分以上の中高強度身体活動の推奨量を満たしており、平常時の58−66%よりも高いという、意外な結果であった。また、男性は女性より、若者は高齢者より、所得の低い人は高い人より、身体活動推奨量を満たさない人の割合が低かった。
新型コロナウイルス感染症拡大時の身体活動に関する調査・研究成果が徐々に公表されつつあるが、そのうちの一つであり、3月以降の調査結果を7月の段階で学術論文として公表した速報性、自粛期間の身体活動関連因子を明らかにした点が本研究の強みである。その一方、本研究の限界として、インターネットを介するバイアス、身体活動調査の妥当性と客観性の不足、平常時に関する調査結果の欠落があることなどから、結果の解釈には十分な注意が必要である。
国立健康・栄養研究所 身体活動研究部 部長 宮地元彦
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