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[子供]  母親の肥満は数世代に渡って肝臓がんのリスクを高める
2020.7.6 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

肥満した母親の持つ肝臓がんの感受性を高めるマイクロRNAが、世代を超えて子孫の肝臓がんの感受性を高めるようだ、という中国・武漢大学と華中科技大学からの研究報告。

肥満は非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) や肝細胞がんなどの代謝性疾患のリスク上昇をもたらす。米国において、近年肝細胞がんと診断された患者のうち50%までが、NAFLDなどの代謝性疾患の結果がん発症に至っている。だが、妊娠期の肥満が子の肝臓がんリスクを高めるメカニズムは不明である。

「子の健康に直接的に影響する妊娠期の肥満は、肥満の蔓延や代謝性疾患に重要な役割をもつ」と研究者らは説明する。「疫学研究は、肥満が肝臓がんの独立したリスク要因であることを示している。我々の研究は、妊娠期の肥満が子の肝臓がん発症にどのように影響をもたらすかという疑問に洞察を与えるものだ」

研究者らは、高脂肪食を与え肥満させたマウスに、肝臓がんを引き起こすジエチルニトロソアミン (DEN) を投与し、RNAシーケンスによる解析で遺伝子とマイクロRNAの世代間の変化を調べた。

その結果、妊娠マウスへのマイクロRNA miR-27a-3p投与により、子マウス (新生児期、若年期、成年期) の肝臓でmiR-27a-3pが増加、Acsl1とAldh2の2つの遺伝子発現が減少し、さらにDEN投与した子マウスでの肝細胞がんの進行を促進した。

高脂肪食によって惹起された妊娠期の肥満は子のDEN誘発性肝細胞がんの感受性を高める。研究者らは、この感受性が世代間で蓄積され世代を追うごとにがん進行のリスクが上昇することを示した。たとえば、祖母と母が肥満の子マウスでは、祖母が普通体重で母が肥満の子マウスに比べてがんの重症度が高かった。

研究者らは肝細胞がんのヒトデータも解析した。「我々の研究は、母親の肥満と子の病気の進行のメカニズム的な関連性を示した。この研究成果は、胎児期や生後の健康状態が影響する疾病の治療や予防の方法を探索する手助けになるだろう」と責任著者のファン教授は語っている。

「妊娠中の母親の血清miR-27a-3p値は子の健康に重要であり、将来的には診断や予測のバイオマーカーとして利用できるだろう。」ともうひとりの責任著者ツェン教授は述べている。「多世代にわたる母親の肥満問題に取り組むための世界的な協力を呼びかけたい。」

出典は『肝臓学雑誌』。 (論文要旨)      
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